今回は、ダイエットにおいて
あまり語られない核心、
「何故人間はデブるのか?」から
推測される真実と、
それに対する理論的な心構えを補足します。
【チンパンジーは生まれた時から体脂肪率3%】
前回、たいていの動物は、
放っておいても
筋骨隆々だということを書きました。
それに引き換え、
人間は厳しい食事制限と、
ある程度激しいエクササイズを
継続しなければ、決して
「腹筋バリバリ」にはならないのです。
ところが我々は、少しでも太ってくると
「だらしないからだ」ということで、
自己管理以外のファクターは
存在しないかのように考えてしまいます。
もちろん過度の肥満で美観を損ねたり、
成人病やガンを発症したりというのであれば、
それは自己管理で克服しなければなりません。
ここはエピジェネティクスの
ズレですから修正が効きます。
重要なのは、なぜ普通に生活していて
醜くなるのか?ということです。
人間が、もし地球上で最も進化した動物であるなら、
自然に、ただ単に生きている姿のままで、
サバイバル要件が
ほぼ最適であると考えるしかありません。
すると、特にエクササイズや
ダイエットをしていない人間が
大体、小太りで落ち着くのは、
人間が「そういう仕様」であると
結論付けるより他無いですね。
チンパンジーは生まれた時から死ぬまで、
体脂肪率は5%に至らない程度で、
これを人間に置き換えると、
ボディビルダーがコンテストに
出るようなコンディションとなります。
チンパンジーの世界はもとより、
多くの動物の世界、人間以外の世界では、
バリバリに絞り切ったボディビルダーのシェイプが
「普通」であり、生存に適していたようです。
一方、我々人間は生まれた時から
分厚い脂肪に覆われ体脂肪率も
20%を超えて生まれてきます。
大人になり、健康的なルックスと言われる
シェイプでも体脂肪率は男子で13%程度、
女子では20%程度もあります。
だから根本的なレベルで、
人間は「例外的にデブな動物」
であるということで、その認識が無いと、
次の2点を踏み外してしまいます。
1. 普通にしていたらデブになる
2. 精悍さを保つには、常にダイエットとエクササイズを行う必要がある
次に、何故人間はデブなのか?
という悲しい現実に迫ってみます。
【覆されないトンデモ仮説】
人類の進化において、
考古学者たちからは、
いまだ、まともに相手にされていないにもかかわらず、
生物学者や生理学者などの支持を
静かに増やし続けている仮説があります。
それは、「水生類人猿説」と呼ばれるもので、
人類は進化の過程において、
もっぱら水際での生活に適応して
進化した時期があったに違いない、
と推測する仮説です。
この「水生類人猿説」は、人類が他の霊長類と比べて
大きく異なっている点に推測を付加する過程で
出来上がってきたものと考えられています。
例えば、前述しましたが、
赤ん坊が分厚い脂肪に覆われて生まれてくるのは、
水にぷかぷか浮かぶための適応であるとか、
生まれてきたときにワックスのような
脂質に覆われているのも、
他の水生哺乳類と共通している、
という説明など、
人類のありとあらゆるユニークさが、
この「水生類人猿説」で理由付けされています。
中でも話題になったのが、
二足歩行の起源になったとする説ですね。
水にジャバジャバ入っていく生活をしていたから、
自然と直立になり、
体毛が無くなって、
水から上に出している
頭の毛だけが残ったという説明。
興味のある人は
「エレイン・モーガン」で
検索すると良いでしょう。
現実問題としては
「説明は付けられるけれども、証明が出来ない」
という状況であり、
まだまだ立証には至っていません。
但し、人類における
「水の無駄遣い」の観点においては、
どう考えても水際で進化したとしか
思えない点もあります。
例えば、人類は他の霊長類に比べ、
何倍も汗をかきますし、
汗腺も数倍あります。
にもかかわらず、
人類は脱水症状への
ディフェンスが非常に弱く、
10%程度の脱水で
死に至ることもあるうえ、
常に水を補給しなければなりません。
この発汗と二足走行による効率的な冷却は、
「サバンナ説」(人類は草原で適応・進化した)において、
狩猟におけるアドバンテージとされました。
人類は、毛皮で覆われた動物たちに比べると、
トップスピードははるかに劣りますが、
走り続けると、
動物の方が暑くなって動けなくなり、
捕獲することができます。
確かにこれは事実で、
今でもそのようなマラソン型の追い詰めは
利用されているとのことです。
しかし、進化論において、
反論が無いわけではありません。
【視覚的「優性選択」をマスターせよ!!】
水に乏しい時期も多いと思われる
アフリカのサバンナで、
何故このように体液を大量に
垂れ流す適応が起こったのか、
と言われると難しいものがあります。
おまけに水分だけでなく、
あらゆるミネラル、
特に塩分が大量に失われることを考えると、
どうしても生活基盤が
海際に寄ってきてしまいます。(ヨウ素も然り)
いずれにせよ、
我々は常に塩分を体外から摂り入れては
排出するように機能しており、
このあたりは考古学的立証が
出来ないと言われても、
動かし難い部分ではあります。
また、人類の脳が異常に大きいという部分も、
大量の必須脂肪酸ソースを
地理的前提とする以外に整合性が無く、
水際説に軍配が上がります。
陸にもオメガ3が十分にあると
唱えてきた学者は多いですが、
栄養畑の人間からしてみると
あり得ない話であって、
シーフード以外のオメガ3源、
例えばフラックス・シード等ですと、
これに含まれるALAが、
人間の組織に含まれる
DHA等に変換される率は
1%に満たないと考えられています。
人類における体脂肪率の高さや、
すぐに肥満する傾向も、
水に浸かることが多いのであれば、
浮力の強化と体熱の保持に繋がり、
一応、辻褄が合います。
人類が暑いアフリカで進化したにしては、
デブになるのはおかしいな?
と思っていたところ、
水中での適応という線であれば、
有力な感じがします。
そういうわけでこの、
「水生類人猿説」は
トンデモ扱いをされながらも、
人類の数多くの難解な性質に
有力な説明を提供しており、
しまいには天敵とされていた
「サバンナ説」の方が
先に否定されてしまいました。
我々が、食事に気を付けていないと、
ふわふわと脂肪で膨らんでしまうのも、
陸上や樹上生活の名残りでは無く、
水際生活の名残りであるような気がします。
いずれにせよ、
「だらしない」から太るというのは
原因の半分であって、
もう半分は
「デブる動物だから」ということです。
しかしながら、そういう運命を
克服するもしないも自分次第ですね。
最近の人類の「流れ」において、
例えば、背の高い人が増えているのは、
背の高い人がモテるからで、選択の結果です。
顔においては「ネオテニー」が有力で、
若さのシンボルとなるような特徴が好まれるため、
人類の顔は、より平面に、
より子供っぽくなる傾向にあります。
引き締まった身体と精悍な風貌が、
視覚的な「優性選択」につながるのであれば、
ダイエットとエクササイズを極めることが、
最上の配偶者を得るための
近道であるかもしれません。
LIVE HARD NEWSLETTER 参照)
本日も最後までお読みくださりありがとうございました。