椎間板ヘルニア

ヘルニアとは

 

ヘルニアとは、身体の中の一部が、本来あるべき部位から「飛び出る」「はみ出す」といった意味のラテン語です。

 

身体の弱い箇所を臓器が突き破ってはみだしてくることがあります。

 

そして、人間の身体には特に何箇所か身体が弱い部分、つまりヘルニアを起こしやすい部分があります。

 

よく知られている「脱腸」も、多くの場合は、本来ならお腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部が鼠径部(そけいぶ)の筋膜の間から皮膚の下に出てくる「鼠径(そけい)ヘルニア」と呼ばれる病気です。

 

いわゆる「でべそ」もまた、生後間もなくへその緒が取れた後に、おへそがとびだしてくる状態で、「臍(さい)ヘルニア」と呼ばれる病気です。

 

 

でべそ

 

代表的なヘルニア

 

椎間板ヘルニア、食道裂孔ヘルニア、鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、横隔膜ヘルニア、傍胸骨孔ヘルニア、ボックダレック孔ヘルニア、脳ヘルニアなどがあります。

 

腰椎椎間板ヘルニア(腰)

 

一般的に、椎間板ヘルニアというと腰椎(腰)ヘルニアを指します。腰のヘルニアは、重いものを持ち上げたり腰をひねったりするといった、ふとしたはずみで発症することもあります。

腰部分の椎間板が一番ヘルニアになりやすく、全体の8割近くを占めています。

 

頚椎椎間板ヘルニア(首)

 

背骨は24個からなっていますが、上から7個までを頚椎(けいつい)と呼んでいます。

この頚椎は、常に重さのある頭を支えているため、腰椎に次いでヘルニアになりやすい部分です。

また 腰椎ヘルニアと比べて症状が穏やかなのが特徴です。

 

頚椎椎間板ヘルニアの症状

 

頚椎椎間板ヘルニアの症状は、以下のように多岐にわたります。

これら全身の症状は神経の障害によって起こってくるものです。

病状の悪化は1→2→3の順に進行してきます。

 

1.首・肩部症状

肩こり、首痛、背中の痛み、前胸部痛

 

2.腕、手症状

上肢の痛み、腕のだるさ、手のしびれ、手のむくみ、握力低下、腕の筋肉の萎縮

 

3.頭部、顔面症状

後頭部痛、頭痛、目の奧が痛い、眼性疲労、眼充血、耳鳴り、めまい、ふらつき

 

鼠径ヘルニア(鼡径ヘルニアとも書きます)

 

鼠径部とは腹部と太ももの境目の部分をいいます。

 

男性の場合、精巣(睾丸)につながる血管・精管の束(精索)が鼠径部の筋肉の鼠径管を通っておなかの中から外へ出ています。

 

女性の場合、子宮を固定する靭帯がここを通っています。

 

この隙間に内臓を包んでいる膜(腹膜)が指サックのように飛び出してきたものを鼠径ヘルニアといいます。

 

ここに腸や、大網(お腹の中の脂肪のかたまりのようなもの)が飛び出してきます。

 

 

鼠径ヘルニア(脱腸)は子供の病気と思われがちですが、むしろ成人に多く、特に40代以上の男性に多く起こる傾向があります。

 

 

鼠径ヘルニアは、乳幼児の場合はほとんど先天的なものですが、成人の場合は加齢により身体の組織が弱くなることが原因です。

 

 

乳幼児でも中高年でも鼠径ヘルニア患者の80%以上が男性ですが、これは、鼠径管のサイズが女性は男性より小さく、比較的腸が脱出しにくいためと考えられています。

 

 

また、40代以上では、鼠径ヘルニアの発生に職業が関係していることが指摘されており、腹圧のかかる製造業や立ち仕事に従事する人に多く見られます。

 

便秘症の人、肥満の人、前立腺肥大の人、咳をよくする人、妊婦も要注意です。

 

 

大腿ヘルニア

 

子供をたくさん生んだ女性の方に大腿ヘルニアというヘルニアが起こる事があります。

 

横隔膜ヘルニア

 

横隔膜ヘルニアには、外傷性に起因とするものと、そうでない非外傷性のもの(先天性を含む)が有ります。

 

外傷性横隔膜ヘルニア

 

横隔膜は、呼吸のために胸の気圧を管理しています。

つまり、膜が下がると空気を吸い込み、上がると空気を吐き出すのです。

ところが胸に強い打撃を受けると、排気が間に合わずに横隔膜そのものが裂けることがあります。横隔膜が裂けると、今まで横隔膜によって区切られていた臓器がはみ出ることがあり、これを外傷性横隔膜ヘルニアと呼んでいます。

 

傍胸骨孔ヘルニア

 

非外傷性横隔膜ヘルニアには、ほぼ先天性でしか見られないボックダレック孔ヘルニア、傍胸骨孔ヘルニア(ぼうきょうこつこう)ヘルニアの2種と、後からでもなる可能性が高い食道裂孔ヘルニアがあります。

 

傍胸骨孔ヘルニアは、本来しっかりと胸骨にくっついているはずの横隔膜のつながりが弱く、そこに臓器が侵入してくることによって起こるヘルニアです。

 

ボックダレック孔ヘルニア

 

ボックダレック孔ヘルニアはほぼ先天性でしか発見されません。

しかし時々、生まれたときはなんともなかったのに成長してから強い咳をしたり、胸に打撲を受けたりすると発症することもあります。

 

食道裂孔ヘルニア

 

横隔膜は胸とおなかを仕切っている膜です。

ただし完全に閉じられているわけではなく、大動脈・大静脈と、食道が通る穴が開いています。

このうち、食道が通るために横隔膜に開いている穴を食道裂孔と呼びます。

この食道裂孔に胃がはみ出してくると、食道裂孔ヘルニアになります。

 

脳ヘルニア

 

脳は基本的に硬い頭蓋骨にガードされていますから、簡単に脱出しませんが、そこに何らかの力が加わることによる内圧の上昇がヘルニアの原因になります。

 

ヘルニアの中でも最も発生頻度が多いのは、椎間板ヘルニアです。

 

理論上、椎間板ヘルニアは首から腰までのどこの椎間板でもヘルニアになる可能性はあるのですが、構造上、身体運用上の偏りから、腰と首に多く発生します。

 

首で起これば頚椎椎間板ヘルニアで、腰で起これば腰椎椎間板ヘルニアです。

 

腰周りの椎間板が最も重い重量を受け持っているだけに、腰部分の椎間板が一番ヘルニアになりやすく、全体の8割近くを占めます。

 

また主に20~40歳代に多く、男性の発症が女性にくらべて2~3倍多いことが特徴です。

 

このページではヘルニアの中で最も多い腰椎椎間板ヘルニアを中心に述べていきます。

 

余談ですが、ヘルニアは別に人間だけの専売特許という訳ではなく、他の動物にも起こる可能性があります。

 

犬や猫なども普通にヘルニアになることがあり、特によく見かける椎間板ヘルニアを起こすと、人間よりも症状が重くなることが多いと言われております。

 

背骨とは

 

私たちの背骨は24個の骨が積み重なってできていますが、背骨は医学的には脊椎と表現され、椎骨と呼ばれる骨が積み木のように連結して形成されています。

 

脊椎は、首、背中、腰、臀部など部位によって呼び名があり、頸椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)、仙椎(せんつい)、尾骨(びこつ)に分けられます。

 

頸椎は7個、胸椎は12個、腰椎は5個の椎骨で構成されており、それぞれ英語の頭文字を取ってC1~C7、Th1~Th12、L1~L5と表記されます。仙椎は同じくSと表記されます。

 

腰椎

 

腰椎と聞くと、腰の部分に特化した骨のような印象を受けますが、実は首からお尻までつながっている背骨(脊椎)の一部です。

背骨は33~34個の椎骨と椎間板から成り、順番につながっています。

 

【背骨(脊髄)の順番】頚椎→胸椎→腰椎→仙椎→尾椎

腰椎は腰位置にある椎骨(5個分)と椎間板の集合部分になります。

 

腰椎の5つは、上から第1腰椎、第2腰椎、第3腰椎、第4腰椎、第5腰椎と名前が付けられています。

腰椎の間の椎間板は、英語でLumbarなので、その頭文字を取って、第1腰椎と第2腰椎の間の椎間板ならL1/2、3と4の間にあるものならL3/4と呼ばれます。

 

一方、第5腰椎と仙骨の間にある椎間板は、仙骨の英語名Sacrumの頭文字をとってL5/Sと呼ばれます。

 

背骨

 

椎間板とは

 

人の体は、脊椎(いわゆる背骨)が支えています。

 

脊椎は、部位によって頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾骨と呼ばれますが、これらの脊椎の前方に椎体があり、椎体と椎体の間に椎間板がありクッションの役割を担っています。

 

重なり合っている椎骨と椎骨の間に椎間板が存在します。椎間板はその中心にある「髄核」と呼ばれる組織と、それを包み込む「繊維輪」という組織で構成されています。

 

髄核はコラーゲンやヒアルロン酸などの、弾力性が豊富な成分で構成されており、その80%以上が水分です。

 

そして、その周りをコラーゲンを豊富に含んだ強固な繊維状の組織である線維輪が、包み込むような構造になっています。

 

 

椎間板1

 

 

椎間板の働きは身体を支える為に、上からの圧力をうまく分散するようにしています。

 

また、前後に身体を動かした時に、スムーズな動きができるように働きかけることにより、歩いたり走ったりしたときの腰などに掛かる衝撃を吸収してくれたり、身体を曲げ伸ばししたときも柔軟に形を変えて、スムーズな動作ができるようにサポートをしてくれています。

 

椎間板の周りには脊椎洞神経と呼ばれる感覚を司る神経が走っています。

 

この神経は椎間板が受けた刺激をキャッチして、その信号を枝分かれした神経を通して様々な場所に送っています。

 

 

そのさまざまな場所とは、 脊髄神経節を通して脊髄神経から痛みとして 脳へ送られます。

 

つまり椎間板に何らかの刺激が加わったり、 痛みの原因となる刺激が加わった場合、 背側へ向かう神経を通じて腰の周辺の筋肉が緊張を強いられたり、 関節部分が痛んだりします。

 

 

多くの動物は脊椎を重力に垂直にして生活しているのに対し、人間は二足歩行である為に、脊椎は重力と平行方向となる。このため、立位では椎間板には多くの負荷が掛ります。

 

 

二本足での立位や歩行、 座位をとる人間では、椎間板に掛かる負担は、 他の脊椎動物よりも大きいことは間違いありません。

 

 

一方、椎間板は人体内で最大の無血管組織です。

 

血管が内部に存在しない組織であることは、椎間板がきわめて修復、再生しにくい組織であることを示しています。

 

 

すなわち人体の他の組織以上に椎間板は外傷や加齢性の変化、すなわち老化の影響を受けやすく、かつ修復しにくいといえます。

 

 

椎間板

 

椎間板ヘルニアは腰痛の約5%

 

 

腰痛の実に85%は原因不明だといわれており、残り15%のうち、椎間板ヘルニアが原因であると特定できるのはわずか5%程度に過ぎないと言われています。

 

 

腰痛の原因

 

 

腰椎椎間板ヘルニアの原因

 

 

姿勢や動作に関わる環境要因と、本人の骨の形や体質などの遺伝要因に、加齢が加わりる事が原因です。

 

また喫煙も関係することが報告されています。

 

 

椎間板は、髄核と呼ばれる軟らかい組織と、それを覆う線維輪と呼ばれる硬い組織でできており、背骨の椎体と椎体の間でクッションの役割をしています。

 

そして、椎間板はもともと老化が始まるのが非常に早い器官であり、劣化しやすい性質をもっています。

 

 

過度な加重、慢性的な姿勢の異常、加齢などにより椎間板の外殻にあたる線維輪に亀裂が入り、その中に納まっている軟らかい髄核というゼラチン上の組織がその亀裂を通って外に突出してきます。

 

そして突出した髄核が神経を圧迫すると様々な症状引き起こします 。

 

 

椎間板の一部が線維輪を破り突出した状態

 

椎椎間板ヘルニアになる原因の多くは日頃の生活習慣に起因しています。

 

 

①長時間の同じ姿勢や姿勢の悪さが原因!

 

 

腰椎椎間板ヘルニアは日頃の姿勢によって引き起こされます。

 

長時間同じ姿勢をしていたり、身体に負担の掛かる姿勢を続けていたりすると身体に歪みが起こり、椎間板に強い負荷が掛ります。

 

 

椎間板はその性質上、常に重力の影響を受けてながら圧力にさらされ続けています。

 

椎間板に対して圧力が均等にかかっているうちはまだ良いのですが、背骨が歪んでしまうと重心が傾いてしまいますので、椎間板に掛かる力も偏ってしまいます。

 

 

立っている姿勢、座っている姿勢ともに”姿勢が悪い”状態は四六時中ある偏った個所に荷重が掛かる要因となり、ヘルニアや椎体の変形の原因となります。そこに重たいものを持ち上げるなど、腰へ急激に負荷のかかる動作が加わり発症します。

 

 

また座る、立位のまま前屈みになる姿勢や動作は、体重の約2〜2.5倍の圧力がかかるといわれていますが、これを繰り返す事により徐々に偏った圧力から逃げるように、圧力の強い方から弱い方へと、椎間板が押し出されていきます。

 

 

仕事がデスクワークや車の運転で、同じ姿勢をしている時間が長い人や重い物を持つことが多い職業の方は特に注意が必要です。

 

 

デスクワーク

②椎間板の変性

 

 

椎間板は本来、成分の80%が水分の柔軟な組織ですが、仕事や運動などで腰を酷使する姿勢や動作を続けて負荷が蓄積したり、加齢にともなう自然な老化などによって、椎間板の水分は徐々に少なくなり、硬くなって弾力性がなくなります。

 

 

椎間板は10代後半をピークとして、椎間板の水分が減って弾力性を失う脱水現象がはじまると言われています。

 

人の身長が20歳代を最高にして、年齢とともに低くなっていくのも、この椎間板の脱水現象が主な原因とされています。

 

 

20歳を過ぎると、髄核の水分量が減ってくる等の、加齢による変化が生じてきまが、椎間板は身体を支える為、日常生活でも常に負荷が掛かっています。

 

特に、屈んでものを持つ動作では腰の椎間板に強い負荷が掛ります。このような負荷により線維輪に小さな亀裂が生じると、椎間板ヘルニアが発生します。

 

しかし、実際に椎間板ヘルニアを発症している年齢は高齢の方ほど多いのかというと、実はそうではありません。

 

 

年齢別の椎間板ヘルニアの発生率を見ると、意外と20~40代が高くなっていて、特に30代が30%近くを占めているのです。

 

勿論、激しいスポーツをするような10代の若者にも発生します。

 

 

椎間板の変性は、20歳代で約30%、30歳から40歳では約50%、さらに高齢者になるともう、ほぼ全員に近い約80%以上になります。

 

一方、 椎間板ヘルニア全発症者に対する年代別の発症率は、10代で12.3%、 20代で22.5%、30代で29.2%、40代で25% 50代で9.1% 60歳以上2.0%となっています。

 

 

10代の若い世代では椎間板の老化が始まらず、60代以降の高齢者では逆に椎間板がカチカチに固まってしまってなかの髄核が外に飛び出さないため発症が少なくなります。

 

 

③カルシウム不足

 

加齢による骨の老化だけでなく、偏食や過激なダイエットなどによるカルシウム不足が、骨粗しょう症や骨の変形を引き起こし、ちょっとした衝撃で骨が欠け、椎間板を圧迫するケースもあります。

 

 

④喫煙

 

 

煙草をよく吸う方は、 ニコチンの血管収縮作用で血流が悪くなり、椎間板に十分な栄養が届かず変性が進みます。

 

 

⑤遺伝

「腰椎椎間板性の疼痛や損傷は家族性に起こりやすいと結論した。」腰椎椎間板ヘルニアのガイドラインより報告もあがっております。

 

 

タバコを吸う人

 

 

屈曲力といって腰を曲げる力が掛り、椎間板の中身が後ろ側に押し出されるような形になった時にヘルニアになる可能性があります。

 

 

前側は硬い靭帯で覆われているので飛び出すことはありませんが、後ろは髄核の出口があるので髄核が後ろに飛び出し、ヘルニアになります。

 

 

ですので、身体を後ろに反らす動作ではなく、前に曲げる動作がヘルニアが起こる危険あるともいえます。

 

 

椎間板ヘルニアになりやすい職業

 

 

前屈み、中腰になることが多いデスクワークのデスクワークが多い事務員、運転手、看護師、介護士、美容師、弁護士、工場などの現場労働者、運搬・配達業者などの職業。

 

 

椎間板ヘルニアが発症しやすいスポーツ

 

 

野球、テニス、ゴルフ、ダンスなど、腰の強い捻りをともなうスポーツ。

 

 

椎間板ヘルニアの種類

 

 

4種類の椎間板ヘルニア。

 

 

脱出型椎間板ヘルニア

 

 

SE型とも呼ばれます。髄核が線維輪を破って突出した、典型的な状態を言います。

 

 

椎間板は、柔らかい髄核を、硬い繊維輪で包んで保護する形になっていますが、繊維輪は硬い事は硬いのですが、あまり無理をさせると亀裂が入ることがあります。

 

その亀裂から髄核が外に脱出してしまったものを脱出型と呼びます。

 

 

大抵は亀裂が入った瞬間に脱出も起こるので、急激な痛み等を伴うのが特徴ですが、膨隆型に比べると症状の改善が早いと言われています。

 

 

膨隆型椎間板ヘルニア

 

 

P型とも呼ばれます。椎間板の一部が膨らんだ軽度の状態。外に飛び出してはいませんが、膨らむことで神経を圧迫することがあります。

 

 

例えばずっと同じ姿勢でいると、腰椎はいつも同じ重量を受け続けます。

 

すると、髄核は上からの重量で押され続け、繊維輪に圧迫を加えます。

 

 

やがて、圧迫に耐えかねた繊維輪の一部が変形して突出することがあります。

 

 

この突出部分が脊髄の神経を圧迫することによって、痛みなどの症状がでてきます。これを膨隆型と呼びます。

 

 

繊維輪そのものが変形してしまうので、長期化することが多いのですが、圧迫量は脱出型より少ないので症状が弱い特徴があります。

 

 

穿破(せんぱ)脱出型椎間板ヘルニア

 

 

TE型とも呼ばれます。

 

線維輪を破って突出した髄核が、椎間板と脊柱管の間にある後縦靭帯も突き破った状態です。

 

 

遊離脱出型椎間板ヘルニア

 

 

S型とも呼ばれます。

 

後縦靭帯を突き破った髄核の一部が分離し、脊柱管内の別の場所に移動した状態です。

 

 

腰痛

 

 

なお、穿破脱出型と遊離脱出型は、自然消滅する場合もあることが最近わかってきました。

 

ヘルニア組織が線維輪を破って飛び出すと、人体に備わる免疫機能が異物とみなし、免疫細胞が異物を吸収して消滅させることがある為です。

 

腰椎椎間板ヘルニアの症状

 

 

腰椎椎間板ヘルニアで最も多い症状は腰痛です。

 

急激にぎっくり腰のような激しい痛みが起こる急性型と鈍い痛みが続く慢性型の2種類があります。

 

他の要因によって引き起こされる腰痛と異なるのは、痛みやしびれなどの症状が、前かがみや椅子に座るなど前屈の姿勢になると 椎間板内圧が上昇して痛みや痺れが強くなり、後屈すると楽になるという傾向がある点です。

 

 

次に坐骨神経痛です。

(※坐骨神経痛というのは病名ではありません。

文字通り神経が痛む、若しくは痺れが来る状態=「症状」のことをいいます。)

 

 

腰椎椎間板ヘルニアになると 坐骨神経に沿って、片側の臀部、太ももの後ろ側、膝から足首の外側、つま先まで、痛みや痺れが起こります。

 

 

組織が突出した側の神経根が圧迫を受ける為、両足に症状が出ることは少なく、片側だけに症状が現れるというのが特徴です。

 

しかし、大きなヘルニアの場合は左右両側に痺れが現れることもあります。

 

 

正常椎間板の場合にはその後にある神経は自由に動くことができます。

 

身体の曲げ伸ばしによって神経は障害物なく脊柱管内を痛みもなくスムーズに滑ることができます。

 

 

椎間板ヘルニアになりますと、後方にある神経は圧迫されて上下に動くことができなくなってしまいます。

 

この動きにくい神経に歪みの力が加わる結果、腰痛や足(脚)の痛みが起こったりします。

 

場合によっては脚の麻痺、しびれ、足の冷たさ等々を起こすこともあります。

 

 

下記の図は、正常な椎間板と椎間板の一部が線維輪を破り突出した状態椎間板の一部が線維輪を破り突出した状態です。

 

右図では、突き出した椎間板で脊柱管が狭くなり、動きにくくなった神経の状況を表します。

 

 

椎間板ヘルニア(側面)

 

 
痛みや痺れ以外の症状では、むくみ、脱力感、筋力低下、筋肉の萎縮、知覚障害などがあります。

 

 

馬尾型の腰部脊柱管狭窄症と同じような、陰部の痺れや排尿障害、間欠跛行といった馬尾症状が起きることもあります。

 

 

腰椎椎間板ヘルニアが重症化すると、排尿障害が起こる場合もあります。

 

おしっこが出にくい・頻尿状態を繰り返すなどが主な症状です。

 

これはヘルニアによって膀胱につながっている神経が圧迫されていることが考えられます。

 

 

①腰椎椎間板ヘルニアの腰の痛み

 

 

椎間板突出による神経圧迫

 

 

一番の痛みの発生原因は、椎間板に体重等の圧が加わり、椎間板が強く押され、突出した部分が後ろにある神経を圧迫してしまう事です。

 

 

神経周囲の癒着

 

 

二番目の痛み発生の原因は、膨隆した靭帯もしくは脱出髄核が、神経と線維性癒着が生じ、神経の滑りが悪くなってくる事です。

 

長い期間、神経がヘルニアと接触していると、粘性の高いフィブリン等が出現し、線維性癒着が増強し、神経は動けなくなってきます。

 

本来、脊柱管内で自由に動くべく神経の滑走性は低下し、神経に引きつれや歪みが起こってきます。

 

 

神経の炎症または機能低下

 

 

三番目の痛み発生の原因は、神経の周囲が充血炎症したり、神経の機能が低下して、神経麻痺・痺れ等を生じている事です。

 

充血炎症は、疼痛化学物質の出現により、急性疼痛になります。

 

 

②腰椎椎間板ヘルニアの坐骨神経痛症状

 

 

≪発症部位と症状≫

 

 

・L1/2の腰椎椎間板ヘルニア

 

腰の上あたりに痛み。

 

・L2/3の腰椎椎間板ヘルニア

 

足の付け根、鼠径部の痛み、だるくさ、痺れ。

 

・L3/4の腰椎椎間板ヘルニア

 

大腿部前面の痛み、だるくさ、痺れ。

 

・L4/5の腰椎椎間板ヘルニア

 

臀部から大腿部横、膝の下や、外側のすねの痛み、だるくさ、痺れ。
足の親指の力が入らなかったり、足首があげられなる場合もあります。

 

・L5/Sの腰椎椎間板ヘルニア

 

臀部の真ん中、ハムストリング、ふくらはぎ、踵から足の裏、足の小指の痛み、だるくさ、痺れ。
アキレス腱反射が弱くなり、つま先歩きが出来なくなる場合もあります。

 

 

椎間板ヘルニアの症状

 

 

腰椎椎間板ヘルニア腰痛の原因の中で圧倒的に多いのは、L4/5の部分です。

 

骨は、下にいくほど重力が掛りやすい事と、腰を曲げるところがこの部分であることで、圧力が掛り易く、傷みやすい為です。

 

 

 

ヘルニアかどうかを判断する方法

 

 

理学的所見で有名なのはSLR(Straight Leg Raising)テストと呼ばれるもので、これは膝を伸ばした状態で下肢が何度上がるかを診るものです。

 

その他にはしびれている範囲、下肢の筋肉の力の出具合などを調べます。

 

 

 

検査法 SLRテストの手順。

 

    ①仰向けに寝ます。
    ②他の人に足首を持ってもらい、天井に向かってあげてもらいます。
    ③20度程度で腰や腰から足にかけての痛みや痺れが出るようでしたら陽性となります。
    *40度、50度で足の後ろが突っ張ったり腰がひきつる場合は柔軟性不足です。硬くなっているのでほぐして伸ばして下さい。

日常生活での対処法

 

 

椎間板ヘルニアは、椎間板に過度の負担が掛かる事で起こりやすい疾患です。

 

前屈みや中腰の姿勢の継続はできるだけ控え、職業上やむを得ない場合は、定期的に休憩を入れて軽く身体を動かすようにしましょう。

 

また、重いものを持ち上げたり、掃除機などの中腰の作業をする際も、十分注意しましょう。

 

 

同時に、椎間板への負担を減らすために、腰の周囲の筋肉を鍛えることも大切です。

 

腰を支えられるだけの筋力をつける為に、腰痛体操などの運動も取り入れていきましょう。

 

特に、一度ヘルニアを患った方は意識して行うことをおすすめします。

 

整形外科医の先生は、ご自身が椎間板ヘルニアになられた場合、決して手術をすることを選択しないと言われております。

 

 

腰痛の原因になってると思われる、はみ出した椎間板ヘルニアを除去しても、必ずしも思うような改善が見られない事や椎間板ヘルニアがはみ出した状態で放置しても 手術を行った場合と予後は、余り変わらないと統計結果が出ています。

 

椎間板ヘルニアは手術1

 

 

椎間板ヘルニアの多くは、何もしなくても、発症してから6か月前後に自然に消失します。

 

これは整形外科医の間ではかなり以前から常識になっていることらしいですが、ただ、すべての椎間板ヘルニアが自然に消えるわけではなく、消えやすいのは、髄核が椎間板と神経の間にある後縦靱帯を突き破っている場合です。

 

 

その場合は、免疫細胞が反応して、飛び出した髄核を食べるため、ヘルニアが自然に消えるのですが、髄核が後縦靱帯を突き破っていない場合は、免疫細胞が反応しにくいため、椎間板ヘルニアは自然に消失しにくいと考えられています。

 

この「吸収されて消滅する」というメカニズムは、ヘルニアの強い痛みに関係があります。

 

炎症反応があり痛みが強いということは、白血球中のマクロファージが活発になります。

 

マクロファージは異物を食べる働きを持つ事から、飛び出した髄核を異物とみなして、食べて吸収してしまいます。

 

また、自然に消滅せずとも、飛び出した髄核による炎症が軽減してきて、画像上の椎間板の出っ張りが残存していても痛みがとれるという場合も数多くあります。

 

最近の研究では、成人では椎間板ヘルニアを持っている人の方が、持っていない人より多い事がわかっております。

 

ところが、椎間板ヘルニアで腰痛を起こしている人はごく一部です。

 

つまり、椎間板ヘルニアがあるだけでは症状は起こらないという事です。

 

症状が現れるのは、椎間板ヘルニアにほかの要因が加わった場合です。
 

 

血行障害

 

 

興味深い実験結果

 

 

手術の際に、椎間板ヘルニアのあった所に小さな風船を入れておき、麻酔から覚めた後に膨らませると、痛みを起こします。

 

 

しかし、ヘルニアのなかった神経根の所では患者さんは痺れやだるさを感じますが、痛みは起こらなかったのです。

 

つまり単なる圧迫では、痛みは起こらないということです。

 

 
普通、身体の一部分を押してもそれ程痛くありませんが、叩いたりしてその部分が赤く腫れ上がると、触っただけでも痛くなります。
 

 

このようにヘルニアでは単に神経を圧迫しているだけではなく、その部分に炎症が起こって痛くなっています。

 

炎症がなくなれば、痛みはひいて、単なる痺れや、だるさだけになることが予想されます。

 

ですから椎間板ヘルニア治療の主眼は、出っ張ってしまったヘルニアを引っ込めることではなく、その部分の炎症をとることなのです。

 

 

椎間板ヘルニア風船実験のイラスト

 

 

『人生を変える幸せの腰痛学校』(プレジデント社刊、伊藤かよこ著)

 

 

厚生労働省の調査によると、腰痛に苦しむ日本人は、実に人口の4人に1人に当たる2800万人と推定され、年々増加傾向にある。

 

一方、街を歩けば、整形外科や整体に鍼灸院、書店では『○○で腰痛が治る』のような健康書が山ほど目につく。

 

それでも腰痛患者が減らないのはなぜなのか?

 

 

■痛みの場所が、日によって違う?

 

 

むかしむかし、医学がまだ発達していなかったころのお話。「頭痛の原因は、なんだろう?」「頭が痛い」のだから、きっと原因は「頭」にあるにちがいない。

 

 

──そう考えたある集落のお医者さんは、「頭が痛い人」の頭をていねいにしらべてみた。すると!

 

 

──なんと「頭の痛い人」全員に「白髪」があることがわかった。

「原因がわかったぞ! 頭痛の原因は白髪だ!」

 

さて、この話を聞いてどう思っただろうか?

 

「まあ、昔だったらあり得るね」と鼻で笑ったそこのあなた、この先を読んでも本当に笑えるだろうか?

 

 

 

昔の医者

 

ある国の整形外科医が「腰痛の原因は、なんだろう?」と考えた。

 

「腰が痛い」のだから、きっと原因は「腰」にあるに違いない。

 

 

そこで、1980年台に普及したMRIという機器を使って、「腰が痛い人」の腰をていねいにしらべてみた。すると!

 

 

──多くの人の腰の「椎間板」がすり減り、その一部分がうしろに飛びだしていた。

 

そして大事な神経を圧迫しているように見えたのだ。「見つけた! これが腰痛の原因だ!」

 

 

「椎間板ヘルニア」という名前を、誰もが一度は聞いたことがあるだろう。

 

椎間板とは、背骨の骨と骨の間にあるクッションの役目をしている軟骨のこと。

 

この軟骨の一部が脊髄神経を圧迫して、首や腰が痛くなると言われている。

 

 

──神経を圧迫?

 

 

いかにも痛そうな話。

 

だが、中には少数ながら疑問に思う医師もいた。

 

なぜなら、「椎間板ヘルニア」患者さんの経過を観察すると、どうやら痛みの程度は、日によって、時間によって変化しているようだ。

 

 

痛みを訴える場所も、一定ではない。

 

ヘルニアは、右や左に動いたりはしない。

 

もちろん、出たり、引っ込んだりもするはずがない。どう考えてもへんだ……。

 

 

■「痛くない人」の76%がヘルニアだった

 

 

それに、これは誰にでも経験があると思うが、神経が圧迫されたらどうなるのか?

 

たとえば、正座。たとえば、腕まくら。共通するのは、シビレ。

 

そう、神経は圧迫されると「痛くなる」のではなく、「シビレ」るはず。

 

 

疑問を持った医師はこんな実験を思いついた。

 

「よし、腰が痛くない人の検査をしてみよう!」

 

そして、腰が痛くないボランティアを集め、MRI検査をした。

 

 

すると……なんと76%の人に「椎間板ヘルニア」が見つかった!

 

「腰が痛くない人」の76%。

 

しつこいようだがもう一度言っておく。

 

「痛くない人」の76%にだ。

 

 

──これってどういうことなのだろう?

 

 

「椎間板ヘルニア」があっても「腰は痛くない」。

 

ということは、「椎間板ヘルニア」と「腰痛」とは関係がない……
ということではないだろうか?

 

 

実はこの研究、1995年に開かれた国際腰椎学会で“腰痛界のノーベル賞”とも評される「ボルボ賞」を受賞した権威あるものなのだ。

 

 

その後も続々と研究は進み、今や「椎間板ヘルニアが腰痛の原因」とされるのは、全体の3%程度にしかすぎないということがわかっている。

 

 

■「椎間板ヘルニアが原因」は全体の3%程度

 

 

──えっ? 3%……!? いやいや、私のまわりにもたくさんいますけど、「ヘルニア」で腰が痛いって言っている人。そう思う人も多いに違いない。

 

 

うーん、これは非常に言いにくいのだけれど、整形外科医の中には、2017年の今でも「椎間板ヘルニア」が「腰痛」の原因だと信じている医師が存在するようだ。

 

 

一般人の私たちでさえ、世界最新の科学的根拠が手に入るこの時代において、なぜそのような医師が存在するのか、私は不思議でしかたがない。

 

 

「学校で習ったことが正しい」「昔から言われていることが正しい」という思考停止に陥っているからなのか、それとも朝から晩まで患者さんがひっきりなしで、新たな知識を勉強する時間や余裕がないからなのか。

 

石頭、ならぬ、医師頭だからなのか。

 

 

もしかしたら自分が信じていることが「頭痛の原因は白髪」と同じレベルであるとは想像さえしていないのかもしれない。

 

なぜなら、古くて間違った知識を患者さんに説明し、本に書き、中にはテレビでしゃべる医師もいるのだから。

 

患者さんがその医師の言葉を信じてしまうのは無理もない。

 

そうして、本当の原因ではない「ヘルニア」を腰痛の原因だと思い込まされた患者さんが、今日もまた増え続けているというわけである。

 

 

治療の流れ

受付
受付
初診時は保険証をお持ちなり、受付にて問診票と当院の説明の入った資料をお渡しいたします。閲覧いただきましたら必要な箇所にご記入いただいてお待ちください。記入しきれなくても問診時にご相談いただいても結構です。
問診
問診
お名前をお呼びしましてから、問診をはじめます。先生が問診表をもとに自覚症状や発症状況、痛みやだるさをおうかがいします。気になる事があれば、何でもお話してください。色々な整形学的検査と確かな経験のもとに原因を探ります。

診察・治療説明
診察・治療説明
痛みやだるさのある箇所を詳しく診察いたします。痛みがでる体勢や関節の可動域などを確認し、患部の状態や原因を確認いたします。原因は千差万別ですので診察中でもお気軽にお伝えいただくことにより、根本的な治療が可能となります。
治療
治療
症状と治療の説明をご理解いただいた上で施術をおこないます。痛みの多くは筋肉のバランスが崩れることや背骨や骨盤などが歪むことにより発生します。力を抜いてリラックスしていただき、筋肉の緊張をほぐしていきます。患者様にあった必要な治療をおこないますのでご安心ください。
術後の確認・説明
術後の確認・説明
施術後の痛みや動きを確認し、日常生活で気を付けて頂きたいことや筋トレの方法やストレッチのやり方などを説明し、次回の治療の説明をします。

施術料金

保険診療

保険診療は症状により異なりますが下記の料金が目安となります。

初診

3割 2割 1割
保険の割合に
よります
~1,200円 ~800円 ~600円

2回目

3割 2割 1割
保険の割合に
よります
~570円 ~380円 ~180円

3回目~

3割 2割 1割
保険の割合に
よります
~480円 ~320円 ~180円

矯正治療(自由診療)

患者様によって治療内容は変わります。

診察で金額と効果をしっかりご説明いたします。

初回 2,160円~
2回目~ 1,080円~

延長マッサージ (自由診療)

5分単位で何分でも延長することができます。

5分  540円
10分 1,080円
20分 2,160円

アクセス

椎間板ヘルニア

大原接骨院

小田急江ノ島線
南林間駅西口より徒歩1分
スーパータイガ前
神奈川県大和市南林間1-10-19
TEL.046-273-3307
>>駅からの道のり(動画)