怪我を早く治す為の睡眠。
6日目。
◆睡眠をつくりだす脳、覚醒をつくりだす脳
◇脳内のシステム
「概日時計」と
「睡眠負債」が
睡眠と覚醒に
影響を与えているとして、
そのとき
脳では
どのようなシステムが
働いているのだろうか?
睡眠にかかわるのが
「視床下部」という領域です。
視床下部は4グラム程度しかない、
ごく小さい領域ですが、
自律神経系の中枢であり、
様々なホルモンの
分泌をコントロールしています。
視床下部の前のほうにある
「視索前野」では、
睡眠中に、神経細胞から
「GABA」という抑制系の
神経伝達物質をつくっています。
その物質が
覚醒にかかわる領域を
抑制するため、
睡眠という状態が
つくりだされます。
一方、
覚醒にかかわる領域が、
視床下部と隣り合う「脳幹」です。
脳幹は、
呼吸や血液循環などを
統制する中枢であり、
生命維持を司ります。
この中の、
「脳幹網様体」という部分には
神経細胞が集合しており、
ここから脳全体へ
さまざまな命令が出されています。
そのなかで、
「モノアミン」や
「アセチルコリン」といった
神経伝達物質を介した命令は、
覚醒状態を
つくりだしながら、
睡眠にかかわる領域を
抑制しています。
睡眠システムと
覚醒システムは、
お互いに抑制しあっており、
どちらかが優勢になると
スイッチがパチンと
切り替わるという関係です。
そして、
覚醒を適切に維持するための脳内物質が、
オレキシンという物質です。