新型コロナウイルス抗体検査の意義について

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗体検査が話題になっています。

 

 

この検査がどのような意義を持ちうるのか、また、PCR検査と何が違うのでしょうか?

 

 

 

 

 

インフルエンザウイルスは、感染すると直後に非常に激しく複製(増殖)します。

 

 

潜伏期は短く、1~2日です。

 

 

急激に増殖したウイルスに対して身体が反応して炎症誘起物質を多量に作り、感染から2日以内に高熱・頭痛・筋肉痛などの症状に襲われます。

 

 

その後 獲得免疫反応が起こり始めますが、症状が出てから2日目程度の早い時期からIgM抗体が作られ始めるのが、インフルエンザの特徴です。

 

 

しかし、最初に出て来るIgM抗体には、ウイルスの感染の拡がりを防ぐ力(専門的には「中和抗体活性」と言います)はあまりありません。

 

 

症状が出てから1週間以上が過ぎるとIgG抗体が作られ始め、インフルエンザの場合、これが中和活性を示す抗体の主流です。

 

 

インフルエンザはこのように経過が速いので、血液中に抗体が検出できる頃にはもうウイルスの増殖は下火になり、症状も軽快しています。

 

 

そのため、診断を治療に結びつけるためには、ウイルスが増え始めた直後に検出することが必要です。

 

 

現在行われているインフルエンザの「迅速検査」は、ウイルス粒子を構成するタンパク質を検出する「抗原検査」です(抗体検査ではありません)。

 

 

鼻粘膜でインフルエンザウイルスが増えているかどうかを、ウイルス成分そのものを検出して調べているのです。

 

 

勿論、ウイルスが検出された時にはもう「増えたあと」なのですが、現在用いられている治療薬はインフルエンザウイルスがそれ以上増えることを止められます。

 

 

そのため、早く服薬すれば自然経過に較べてウイルス複製のピークが小さくなり、炎症誘起物質の産生も早期に抑えられて、症状が早く消えます。

 

 

新型コロナウイルス抗体検査の意義について

 

 

新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスに較べると複製が遅く、感染から症状が出るまでの潜伏期が長くなります。

 

 

発熱や咳などの症状が出る頃にはウイルスが体内で増えていますが、現時点ではインフルエンザの場合のようにウイルスのタンパク質を検出する「迅速検査」はありません。

 

 

そのため、増えたウイルスの遺伝子を検出しています。

 

 

これがPCR法です。

 

 

ウイルスが増える時、通常先ず遺伝子が増え、それからタンパク質ができるので、原理的には遺伝子を検出するPCR法の方が、ウイルスタンパク質を検出するより早く感染がわかります。

 

 

体内でウイルスが増え、感染症状が出てから2~3日が過ぎると、漸くウイルスタンパク質を認識したリンパ球(免疫細胞)が十分に増えてきて、抗体を作り始めます。

 

 

最初に検出されるのはIgM抗体で、症状が出てから10日くらいが過ぎると、IgG抗体も少しずつ出て来ます。

 

 

血液中に抗体が増えるのには時間が掛かるので、検査でIgM抗体が検出できるようになるのは、症状が出てから1週間くらい過ぎてから、IgG抗体が検出できるのは症状が出てから2週間くらい過ぎてからになります(個々の症例によって、もう少し早く抗体ができ始める場合や、もっと時間がかかる場合もあり得ます)。

 

 

つまり、抗体による検査は、検査そのものはPCR法に較べてずっと簡単なのですが、原理的に「検査が陽性になるまで、症状が出てから1週間程度は待たなければいけない」のです。

 

 

現在保健所などが無料で行っているHIV検査も、基本的には抗体を検出しています(一番新しい迅速検査キットでは、抗体と一緒にウイルスタンパク質を検出するものもあります)。

 

 

そのため、HIV検査の受診者の方たちには、「感染したかも知れない出来事があってから、この検査で感染の有無がわかるようになるまで時間が掛かります。できるだけ、心配な出来事から3ヶ月程度待って受診して下さい」と説明がおこなわれています(実際には、現在の迅速検査なら感染から1ヶ月で抗体が検出できます)。

 

新型コロナウイルスの抗体検査も、「症状が出てから1週間くらいしないと抗体は検出できない」と理解して、慌てて検査を受けに行かないことが大切です。

 

 

 

 

 

血清中に抗体ができることは、必ずしも感染抵抗性を意味する訳ではありません。

 

 

今回の新型コロナウイルスのように、呼吸器系の粘膜から感染するウイルスに対しては、本当は粘液の中に出て来る抗体(IgA)でないと、ウイルスの侵入を防ぐのには有効でない可能性があります。

 

 

但し、抗体が出来て、特にIgGになっている場合には、同時にTリンパ球も活性化している筈なので、活性化したTリンパ球がウイルス感染細胞を破壊している可能性が考えられます(「細胞性免疫反応」と言います)。

 

 

Tリンパ球のメモリーが出来れば、次の感染に対して迅速にウイルス感染を排除することに有効でしょう。

 

 

 

なお、抗体の産生は抗原刺激の強さによるので、無症候者や軽症者では血液中の抗体価(抗体の量)は低く、重症者の方が抗体価が高くなることが十分に考えられます。

 

 

インフルエンザの自然経過に関する文献:
Paules, C. & Subbarao, K. Lancet 390:697-708, 2017.
Qiu, C. et al. PLoS One 6:e22603, 2011.
Memoli, M.J. et al. Clin. Infec. Dis. 58:214-224, 2014.

 

 

COVID-19の臨床経過と抗体産生に関する文献:
Zhou, F. et al. Lancet March 11, 2020: doi 10.1016/S0140-6736(20)30566-3
Pan, X. et al. Lancet Infec. Dis. February 19, 2020: doi 10.1016/S1473-3099(20)30114-6
Zhou, P. et al. Nature 579:270–273, 2020.

 

 

 

 

 

 

 

大原接骨院では、次亜塩素酸水をお分けしております。

 

 

 

 

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新型コロナウイルス抗体検査の意義について

 

 

 

 

 

 

 

 

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