最高速度を110km/hに引き上げた新東名、交通事故や速度違反に変化は?
高速道路の最高速度(法定速度)と言えば、
1961年(昭和35年)からずっと100km/hのままでしたが、
2017年11月より新東名高速道路、
同12月より東北自動車道のそれぞれ一部区間で
試験的に110km/hに引き上げられました。
新東名では110km/hになって半年が経過しましたが、
最高速度が10km/h引き上げられたことで、
交通事故や速度違反の発生件数に
どのような変化があったのでしょうか?
静岡県警高速隊が5月10日に発表した
新東名110km/h区間の交通事故発生状況によると、
・人身事故の発生件数は13件(前年同期比9件減)
・物件事故の発生件数は88件(同11件増)
これに対し、静岡県警高速隊は
「いずれも事故原因は前方不注意などによるもので、
最高速度が110km/hに引き上げられたことで
起こった交通事故ではない」とのことです。
ちなみに、静岡県警高速隊は開通後1か月にも同様の発表をしています。
・速度超過が約200件(前年同月約450件)
・追越車線を走り続けるなどの通行帯違反が約280件(同260件)
・車間距離不保持や携帯電話の使用などその他の違反が約60件(同40件)
・人身事故2件、物損事故14件(前年同月人身事故1件、12件)
試行後は速度違反の取り締まりを強化したため、
前年同月と比較すると大幅に
速度超過の違反が減っています。
新東名の最高速度110km/hの区間はどこ?
2017年11月より最高速度が引き上げられたのは、
新東名高速道路
「新静岡インターチェンジ(IC)から森掛川IC間」の
上下線約50kmの区間です。
横浜方面からは御殿場ジャンクションを過ぎて、新東名に入ります。
富士山を横目に見ながら、富士IC、清水ICを通過して、
「新静岡IC」の手前で、最高速度110の標識が見えて来ます。
ここから森掛川ICまでの約50kmが最高速110km/hの区間(2012年に開通)。
道路規格第1種第1級の高速道路で、
設計上の最高速度は120 km/h(~140km/h)となっているため、
片側3車線のゆったりとした作りで
カーブやアップダウンも少なく、
大変走りやすい道路となっています。
大型トラックは110km/h対象外で80km/hのまま
2017年11月から最高速度が110km/hに引き上げられたのは、
大型バス、中型貨物(一部)、普通自動車、オートバイのみ。
大型トラック(総重量8トンまたは最大積載量5トン超)は
以前と同様に80km/hに規制されています。
80km/hと110km/hでは30km/hというかなり大きな速度差があり、
この区間では大型トラックなどは
一番左の路肩側の車線を走らなければならなりません。
現在の大型トラックには
90km/hのリミッターが装着されているため、
それ以上のスピードは物理的に
出すことができない仕組みになっています。
しかし、実際には大型トラックも
追い越し車線に出て走っている状況も多いようです。
そのため110km/hで爽快に走っていても、
すぐに大型トラックの列に追いついてしまうこともあり、
新東名新静岡IC~森掛川ICの50kmという区間であっても、
110km/hで巡行できる区間は、
時と場合によってわずかな区間と
なってしまっているようです。
最高速度120km/hになる日はやってくる?
法定速度110km/hは2017年11月から
1年間限定で行われる「試行」です。
この期間に、交通事故や交通違反の発生件数、交通量など、
様々な調査を行い、国の議論を受け、安全性を調査します。
警察庁では、設計速度120km/hの高規格高速道路において
「一定の条件が整えば最高速度を120km/hに引き上げる」
方針を示していますが、
実現するかは今のところ未定とのことです。
新東名高速道路のほとんどの箇所では
最高速度120km/h(一部140km/h)で走っても問題ない、
ということで設計されています。
設計速度が高ければ高いほど、
道路の設計や設置には費用がかさむ(=税金が多く投入される)ので、
1年間の試行で安全性が確認されれば、
ぜひ、120km/hに引き上げて欲しいところです。
本日も最後までお読みくださりありがとうございました。