年末年始、アルコールを飲む機会が多かった事と思います。
また、常日ごろからアルコールを飲む事が習慣になられている方もいるかと思います。
そこで今日は、アルコールについてちょっと怖いお話しをしますね(^_-)。
アルコールが、DNAを損傷して癌のリスクを高める?
英ケンブリッジ大学のケタン・パテル教授率いるチームが、英MRC分子生物学研究所で行なった研究について、科学誌「ネイチャー」に発表しました。
それは…
「アルコールが、DNAを損傷してがんのリスクを高める」
というものでした。
これまでも、アルコールの摂取が癌のリスクを高めることは指摘されてきました。
アルコールを摂取すると、分解する過程でアセトアルデヒドが生成されます。
このアセトアルデヒドがDNAを損傷することは、培養細胞を使った研究で確認されていたのですが、
そのメカニズムははっきり分かっていませんでした。
今回初めて、ケタン・パテル教授のチームがマウスを使い、生きている臓器の反応を確認。納得いく説明ができるようになったということだそうです。
→それでは、詳しい内容を見ていきましょう!
☆壊されると戻らない?
ケタン・パテル教授は、「がんの中には、幹細胞のDNAの損傷が原因でできるものもある。DNAの損傷はたまたま起こる場合もあるが、今回の研究は、アルコールが損傷リスクを高める可能性があると示唆している」と、MRC分子生物学研究所に話しています。
研究チームがマウスにエタノールを投与したところ、エタノールが造血幹細胞のDNA二重鎖を切断。
細胞内のDNA配列は、元に戻らない状態に壊されてしまったそうです。
☆アジア人はアルコール分解がうまく機能しない?
MRC分子生物学研究所の発表文によりますと
人間は通常、アルコールからのダメージに対して2つの自己防衛機能を備えています。
防衛機能その1、
アルコールを分解する過程で生成されるアセトアルデヒドに対するもの。
アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)が、有害なアセトアルデヒドを酢酸に分解し、細胞のエネルギー源に変えます。
今回の研究では、ALDHの一種、ALDH2が欠如したマウスにアルコール(エタノール)を投与したところ、ALDH2が機能しているマウスと比べ、DNAの損傷は4倍に達しました。
研究チームは、この酵素が十分でなかったり欠陥があったりする人は、東南アジア人に特に多いと指摘。
これを受けて
科学系ニュースサイトのサイエンス・アラートは、、ALDH2が変異している人(つまりうまく機能しない人)の数は、
アジアに5億4000万人いると具体的な数字を挙げています。
☆自己防衛機能がきちんと作用している人も…
防衛機能その2、
DNAの修復。
しかしこれが常に機能するわけでもなく、中にはうまく機能しない人もいると研究チームは説明しています。
ケタン・パテル教授は、「アルコールを効果的に処理できないことが、DNA損傷のリスクを高め、特定のがんにつながる可能性があるということが今回の研究で強調された」と発表文の中で述べています。
ただし、
「アルコール処理やDNA修復のシステムは完璧ではなく、こうした自己防衛機能がきちんと作用している人であっても、アルコールが原因でがんができる可能性はあることを忘れてはならない」
と注意を促しています。
☆安全な飲酒量などない?
英国の癌研究所は、アルコールとの関係が特に指摘されている癌の種類として、
・口腔癌
・咽頭癌
・食道癌
・乳癌
・肝臓癌
・大腸癌
を挙げています。
そのリスクは、ワインやビール、蒸留酒などアルコールの種類とは無関係で、飲む量についても
「がんに関しては安全な飲酒量などない」
と断言しています。
ただし、「英国には政府が定めた飲酒のガイドラインがあり、ここで規定している量以下であればリスクは低くなる」と癌研究所は述べています。
英国政府のガイドラインが推奨する飲酒量は、
1週間で14ユニット以内
→(1ユニットは純アルコール8グラムなので14ユニットで112グラム)。
英紙インディペンデントによるとこれは、
4%程度のビール
→7パイント(約3.3リットル)
12%程度のワイン
→通常のワイングラス(125ml)で9杯と1/3杯に相当。
ちなみに、厚生労働省は
「節度ある適度な飲酒」を「1日平均純アルコールで20グラム程度」
としており、1週間分(7日)に換算すると英国ガイドラインより多くなっています。
癌のリスクを考えて飲酒するなら、
少なめに設定している英国のガイドラインも考慮に入れた方が良さそうですね。
<Newsweek 参考>