外傷の治療原則

外傷病理

 

スポーツなどにより肉体を損傷させる時、組織は摩擦・圧力・牽引力などの物理的な力によって破壊されます。

 

 

 

破壊された部分では小さな出血が起こり、炎症メディエーター(※1)が分泌されて組織が浮腫を起こします。

 

 

(※1)炎症メディエーターとは?

 

ケミカルメディエーター、炎症仲介物質とも呼ばれています。

 

低分子のものが多く、細胞と細胞間の情報伝達の役割を担います。

 

損傷された組織、および炎症部位に浸潤した白血球や肥満細胞、マクロファージなどから、生体反応の結果として生理活性物質(ヒスタミンやセロトニン、ペプチド、ロイコトリエン、トロンボキサンなど)が産生・放出されます。

 

・血管透過性亢進(血漿中に含まれるタンパク質や血液中の白血球が血管壁をすり抜けて周囲組織に進出したり浸潤したりしやすくなること)、

 

・血管拡張、

 

・白血球の遊走(白血球走化性ともいいます。白血球が化学的刺激物質(白血球走化性因子)に向かって遊走していく現象で、遊走とは細胞などが生体内のある場所から別の場所に移動することをいいます。

 

・浸潤、

 

 

・組織破壊

 

 

などの作用を引き起こします。

 

 

 

 

この浮腫のおかげで、周辺組織の圧が高まり出血が止まるという良いことが起こります。

 

 

 

しかしながら浮腫のおかげで、炎症メディエーターが局所に滞在するということが起こり、痛みがなかなか引かなくなります。

 

 

 

怪我の悪化

 

 

怪我をしても はじめは、それほど痛くない時もあります。

 

 

その場合、我慢をしながら動かすことができます。

 

 

 

しかし浮腫を起こした付近は、内圧が高くなっていますので少しの動きで強い摩擦が起こります。

 

 

 

この摩擦がさらに組織を損傷させ、痛みがさらに強くなり、無理をしていると結果的に動けなくなるところに行きつきます。

 

 

 

強い痛みの原因

 

 

関節内ではわずかな傷が、わずかな隆起を生み、それが原因で1点に強い圧力がかかるようになります。

 

 

 

筋や腱でのわずかな傷は、1点に強い摩擦を生みます。

 

 

 

軟骨、滑膜、半月板、線維軟骨などが損傷し、そこにわずかな起伏ができれば軟骨と骨の一部に強い圧力がかかるようになります。

 

 

 

この圧力が強い痛みの原因となります。

 

 

 

したがって外傷の治療は「いかに早急に圧力や摩擦をとりのぞくことができるか」に集約されます。

 

 

 

怪我悪化のメカニズム

 

 

例えば、画像にも何も映らないレベルの傷があるとしましょう。

 

 

 

動かしていくことによりその傷が成長します。

 

 

 

それは傷が隆起を生み、周囲を傷つけるせいで、周囲に出血や炎症性の浮腫、不良な肉芽を作るからです。

 

 

 

周囲が腫れると、少しの振動でも少しの摩擦でも強い摩擦力・強い圧力が生じるようになります。

 

 

 

こうして雪だるま式に炎症範囲が広がり、微小な傷が組織全体の大きな傷となっていきます。

 

 

 

大きな傷はさらにその近隣組織との摩擦を高めますので近隣組織にも炎症を引き起こします。

 

 

 

自己免疫作用

 

 

人の体内では常に外傷が起こっています。

 

 

 

自己免疫は外傷によって壊れた細胞を殺して排除します。

 

 

 

排除する際に炎症メディエーターを出現させ、その周囲に浮腫や疼痛過敏を作り出します。

 

 

 

排除する量が少なければ私たちは、それを感じることはありませんが、排除量が多い場合は腫れや痛みを感じます。

 

 

 

そしてステロイドは副腎で生産され、これらの自己免疫の活動を抑制します。

 

 

 

もしもステロイドが副腎で生産されなくなったら、自己免疫は体中で暴走し、様々な炎症と痛みをあちこちに起こします。

 

 

 

もちろん組織も不必要に殺されてしまいます。

 

 

 

外傷の際には一挙に細胞が壊れますので自己免疫の活動が非常に活発になり過剰な腫れや痛みを出します。

 

 

 

当然ながら外傷の際は副腎でステロイドが多量に生産され、過剰な腫れや痛みを抑制にかかります。

 

 

 

このように人の身体は自己免疫とステロイドのバランスで成り立っています。

 

 

 

早く治すことが最大の目的

 

 

 

当院は早く治すことを目指しています。

 

 

 

しかし西洋医学では「早く治す方法」は研究されていません。

 

 

 

ですので、多くのスポーツ選手は西洋医学離れをします。

 

 

 

外傷の基本は

 

安静(Rest)、

 

冷却 (Ice)、

 

圧迫(Compression)、

 

拳上(Elevation)

 

ですが………。

 

 

 

この考え方では早く治すことは不可能です。

 

 

 

スポーツ選手の治療

 

 

 

スポーツ選手は故障との戦いです。

 

 

 

そのため、スポーツ選手の多くは整形外科医と関わり合いを持つことになります。

 

 

 

しかし現医学は病気を治すことで発展した学問ですから「普通に生活する分には問題がなく、激しく身体を動かす時のみに症状が出る」というものを治すのには適しません。

 

 

 

最近ではスポーツ選手がそのことに気づき、整形外科医のアドバイスから離れ、西洋医学以外の治療法を選ぶようになってきています。

 

 

 

最優先は腫れを引かせる

 

 

 

外傷は痛みを伴います。

 

 

 

そして除痛することが治療の原則のように考えがちです。

 

 

 

しかし、最優先は

 

・腫れ

 

・浮腫

 

をひかせることです。

 

 

 

 

痛みは結果であり、全ての原因は腫れにあるからです。

 

 

 

 

腫れを引かせるための体内の物質は、副腎皮質ホルモン(ステロイド)です。

 

 

 

よってステロイドを用いた治療が、最速で治せる手段となります。

 

 

 

しかし、ステロイドは副作用が多く非常にリスクが高い治療法です。

 

 

 

ステロイドで、関節がボロボロに?

 

 

 

ステロイドは、効果は高いのですが副作用も強く「諸刃の剣」的な治療法です。

 

 

 

 

ステロイド薬は強力に炎症をおさえる作用があり、膠原病や関節リウマチの治療に広く使用されています。

 

 

 

 

しかし、ステロイドを服用または注射することによって骨が弱くなります。

 

 

 

ステロイド薬は骨を作る細胞の働きを弱め、骨を吸収する細胞の働きを強めて骨を弱くします。

 

 

 

また、腸や腎臓でのカルシウムの吸収を低下させます。

 

 

 

ステロイド薬は骨の量と質の両方を低下させます。

 

 

 

使用するステロイドの量が多いほど骨折の危険性は高くなります。

 

 

 

ステロイド浮腫軽減作用は自己免疫活動抑制作用

 

 

 

ステロイドの浮腫軽減作用は、自己免疫活動を抑制する作用を意味します。

 

 

 

免疫は傷ついた組織・細胞を食し新しい細胞に置き換える、つまり新陳代謝の役割を担います。

 

 

 

 

ステロイドは、この新陳代謝を抑制しますので壊れた組織・細胞がその場に多く滞在することになります。

 

 

 

壊れた細胞は関節内ではムチンなどに変化(細胞適応)し、邪魔にならないように画策します。

 

 

 

しかしそれでも壊れる細胞が増え続け、それを処理できない状態が積み重なると、局所は細胞のゴミ(死骸)であふれかえることになります。

 

 

 

 

これが新陳代謝を妨害しますから、組織強度が低下し、

 

・靭帯損傷

 

・筋断裂

 

・骨軟骨破壊

 

につながります。

 

 

 

ステロイドの最大の効果であり最大の弱点がこの「自己免疫抑制・新陳代謝妨害」にあります。

 

 

 

ステロイドを用いると「腱などが断裂する」と言われる理由は、の新陳代謝妨害が深く関わっていると言われています。

 

 

 

痛みに逆らってはいけない

 

 

 

痛みを除去することに必死になることは極めて愚かなことです。

 

 

 

痛みこそが「早く治すための指針」であり、痛みが来ないように運動することが極めて重要だからです。

 

 

 

痛みは健康のためのプライベートコーチであり貴方専用の先生です。

 

 

 

逆らうことは最も愚かであると肝に銘ずるべきです。

 

 

 

逆らうのではなく痛みが来ないように動くのです。

 

 

 

痛みは嫌うものではなく、ありがたい治療指針です。

 

 

 

あせりとリスクは表裏一体

 

 

 

整形外科医は外科医ですからしばしば手術治療を勧めます。

 

 

 

最も早く結果と答えが出せるからです。

 

 

 

しかし、手術などの侵襲的な治療はリスクに飛び込んでいることになることを自覚しておくべきでしょう。

 

 

 

筋トレをして治すという方法がありますが、これもあせり心のあらわれであることを自覚しておいてください。

 

 

 

出血と血流増加のバランス

 

 

 

スポーツに限らず外傷では、その外傷部分に浮腫が起こります。

 

 

浮腫は出血を止めるために役立っています。

 

 

 

外傷に引き続き浮腫が起こる理由は、そもそも止血にあると言われています。

 

 

 

しかし、止血は「諸刃の剣」です。

 

 

血が止まる=血流が激しく減少 を意味し、壊れた組織の修復ができなくなるからです。

 

 

 

外傷時のRICE(安静(Rest)、冷却 (Ice)、圧迫(Compression)、拳上(Elevation))は、まさに出血を防止するための方法であり、血が止まってからも行えば、それは傷の治療にマイナスになるという新たな考え方が必要です。

 

 

 

つまり血が止まっているのに「RICE」を行うことは傷ついた組織にマイナスにしかならないということです。

 

 

 

組織内の出血が止まるまでの間のみ「RICE」をすればよいわけで、出血が止まるまでの時間を考慮することが外傷には必要です。

 

 

 

外傷後、何時間で内出血がとまるか?です。

 

 

止血までの時間は、傷の大きさ、安静度、気温などで変化しますが「腫れが止まった」時点で止血完了と考えます。

 

 

 

腫れが止まった後に「RICE」をすることは、組織の修復を妨害します。

 

 

 

ここからは血流を増加させる方向に治療することが望ましいわけですが、これまで「腫れには冷やす」と教科書で教わっているだけに、血流増加のために患部を温めるのには勇気がいります。

 

 

 

しかし、患者様をいち早く回復させていくためには、迷信にとらわれず、腫れが止まった直後からすみやかに血流増加に治療方針を転換させる機転が必要です。

 

 

 

腫れを除去することが最優先

 

 

 

傷を早く治すものは常に血流です。

 

 

筋肉を動かすことにより、局所の血流が増えることで傷が早く治ると考えられます。

 

 

 

しかし、傷のある部分を痛みを我慢して動かすことは、出血と腫れを増やすリスクが高く、血流が増えるというメリットがあるとしても、マイナス部分が大きく、「動いて治す」は「動くことで損傷させる」ことと「動くことで血流が増加して修復が進む」のバランスが問題になります。

 

 

 

このバランスがマイナスに傾くことは、やってはいけないこととなります。

 

 

「動いて治す療法」を行うと、血流増加よりも組織損傷のマイナスの方が大きくなりますからさらに悪化させます。

 

 

 

外傷部分の組織は浮腫により必ず血行不良が起こっています。

 

 

 

血行不良もまた新陳代謝を妨害する最大の原因となります。

 

 

 

怪我を治すのは血流のみ

 

 

 

故障している箇所に腫れがあれば、この腫れを除去しない限り、血流改善が計れません。

 

 

 

腱がきれていても、関節が破けていても、軟骨に凹凸ができていても、それらを修復できるのは常に血流のみです。

 

 

 

外傷を早く治すためには、血流の増加を最優先に考えていかなければなりません。

疼痛学|日常損傷病学 参照

 

 

 

 

 


 

2-2

 

治療の流れはこちら⇒https://oohara-s.com/flow-of-treatment/

 


 

access_map 大原接骨院

アクセス、お問い合わせはこちら⇒https://oohara-s.com/access/

 


 

consultation_hours

診療時間はこちら⇒https://oohara-s.com/consultation-hours/

 


 

大原接骨院

料金表はこちら⇒https://oohara-s.com/price-list/