膝の構造
膝関節は身体のなかで一番大きな関節で、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)の継ぎ目にあたり、更ににお皿と言われている膝蓋骨の3つの骨から成り立っています。
大腿骨と脛骨、膝蓋骨と大腿骨の接触面(関節面)は関節軟骨というクッションで覆われており、大腿骨と脛骨の関節面にはさらに半月板という三日月形のもう1つのクッションがあります。
これらの膝関節部分は関節包という袋で包まれ、内貼りしている滑膜から分泌される関節液で満たされています。
関節液は潤滑油のような働きをするとともに、関節軟骨へ栄養を運び老廃物を持ち去ります。
関節軟骨には血管がないので血液により栄養は供給されないません。
そのほか、大腿骨と脛骨の間には靭帯が4本張っていて、この靭帯によりひざ関節の前後左右の安定性が保たれています。
この靱帯が切れると膝は不安定になります。⇒膝の靱帯損傷⇒https://oohara-s.com/knee-ligament-injury/
また、膝を曲げ伸ばしする働きは筋肉や腱によって行われており、大腿四頭筋や膝蓋腱は膝を伸ばす働きを、膝屈筋は膝を曲げる働きを担っています。
関節は通常、球状の骨と「おちょこ」のような球面を受けるような形状の骨との組み合わせになっていることが多く、面を面で受けるので接触面が広くなり関節への負担は少なくてすみます。
ところが、膝関節の場合は、球状の大腿骨を平面の脛骨が受ける形になっているため点のような小さな接触面で荷重を受けることになるので関節への負担は大きくなります。
膝関節の可動性は広く、膝の曲げ伸ばしでは、歩行で約60度、しゃがむ動作で約100度、正座では約140度と言うように、広い範囲の屈伸運動を担っています。
いったん歩きはじめると垂直方向へ体重が掛かるだけでなく、大腿骨は脛骨の上を転がり・すべり・回旋します。
関節軟骨はこのような横方向や斜めにかかる力にはあまり強くありません。
平地歩行時には体重の約1.5~2倍、階段昇降時では約2~3倍、走ったりする時には5倍以上もの力がかかる場合もあります。
関節軟骨は骨と比べると弾力性がありタイヤのゴム程度の柔らかさです。
また表面が非常になめらかでツルツルしていてほとんど摩擦がありません。
そのおかげでひざはスムーズに動き、骨が直接すり減ることがないのです。
したがって絶えず新陳代謝が行われこのツルツルや弾力を保つ必要がありますが、軟骨には血管がないので滑膜から分泌される関節液を栄養源としています。
しかし血行がないため軟骨をつくる細胞が供給されないので、軟骨がいったん傷ついたりすり減ったりしたとき修復されにくいという性質を持っています。
若い人の軟骨は白く光沢があり、弾力もあります。
それが加齢とともに、軟骨は黄色くなって、徐々に弾力がなくなってきます。そうなると軟骨が摩耗しやすくなります
変形性膝関節症の症状
男女比は1:4で女性に多くみられ、高齢者になるほど罹患率は高くなります。
特に60代女性の約40%、70代女性の約70%がかかっているといわれております。
日本国内に限っても患者数は約3,000万人というありふれた疾患であり、年だからとあきらめたり、我慢しているケースが多いのもこの病気の特徴です。
同じ変形性膝関節症でも、症状の現れ方や進み方は人によって千差万別です。
X線写真では膝関節の変形が相当進んでいるのに症状がほとんどない人、逆にひどく痛むのにX線写真では変形がほとんど見られない人など様々です。
変形性膝関節症の主な症状は、膝を動かしたときに生じる膝の痛みです。
しばらく座って休んだりした後に立ち上がろうとした際に、一瞬ズキッとした痛みが生じることがあります。これを、「スターティング・ペイン」と呼んでいます。
最初は、立ち上がるとき、歩き始めるときなど、膝に体重がかかりやすいときに痛むことが多く、もう少し進行すると階段の上り下りのとき、正座したときなど、特別な動作をしたときにも痛みが生じるようになります。
じっとしていると痛みが軽くなりますが、病気が進行していくと安静時でも痛みがとれないことがあります。
関節に炎症が起こり、膝のお皿の周辺に水が溜まります。水が溜まると膝が腫れて、痛みが生じたり膝が動かしにくくなったりすることがあります。
正座やしゃがむなどの膝を曲げる動作が難しくなったり、膝を伸ばすことが難しくなったりします。また、歩き始めるときに横にぶれることがあります。
進行度によって重症度は大きく5段階(ステージⅠ~Ⅴ)に分けられます。
ステージⅠ
関節軟骨の劣化がはじまります。
関節にかかる負担に耐えられなくなると、ツルツルだった関節軟骨の表面に傷がついたり劣化したりする「軟骨変性」が起こります。
だんだん関節軟骨の弾力がなくなり衝撃吸収能力が落ちてくる時期です。
朝起きて歩き始めた時の「膝の違和感」が最も早く現れる症状です。
この段階では、膝に力がかかる動作で痛みがでることもありますが、この痛みは長続きせず、しばらく休むと痛みがなくなる場合がほとんどです。
ステージⅡ
軟骨がすり減りはじめます。
関節軟骨の表面の傷や劣化が進み、表面に裂け目が出て剥がれはじめ徐々に関節軟骨が擦り減りはじめます。
擦り減った軟骨のカスのようなものを除去しようと関節液が多く分泌されて腫れてきます。
膝が張っているような重くだるい感じもでてきます。
また、擦り減った軟骨のカスのようなものが、滑膜を刺激し炎症が起こり痛みが出てきます。
ステージⅢ
更に進行すると関節軟骨が擦り減り半月板も弾力を失う為、大腿骨と脛骨の間にあるべきすき間=関節裂隙が狭くなっていく。
そうすると骨にかかる負担が増えてくるため、骨が自分を守ろうとして硬くなったり=骨硬化、とげ=骨棘やでっぱり=骨堤のようなものを作ります。
膝に水がたまって強く痛んだり、走ったり階段の上り下りもつらく、特に下りがつらくなります。
ステージⅣ
O脚や膝のくの字変形が目立つようになってきます。
関節軟骨の擦り減りが進行し関節裂隙はますます狭くなり、骨棘、骨堤、骨硬化も進みます。
関節軟骨の部分的な欠損や、半月板も変性や損傷がみられるようになります。
膝の使い方の癖などで関節軟骨の一部が擦り減り、O脚や膝が伸びきらず、くの字になる等の関節変形が目立つようになってきます。
また日本人はO脚気味の人が多いので内側に負荷が掛かりやすいです。
スポーツを続けるのは難しくなり日常生活にも支障が出てきます。
また、関節液が過剰な関節液が溜まる「膝関節水症」を引き起こします。
しかし、関節内のヒアルロン酸は逆に減少します。
ステージⅤ
関節軟骨が消失、骨が直接こすれ合うようになります。
関節軟骨が完全に擦り減って関節裂隙がなくなり骨硬化が進みます。
骨同士が直接こすれ合う膝に力のかかる動きをするとコリコリ、ガリガリといった軋轢音が出るような感じを受けるようになります。
O脚などの変形が進み、膝を完全に曲げたり伸ばしたりすることが出来なくなります。
痛みが引かなくなり、日常生活では杖や手すりが必要になってきます。
この段階になると、日常生活に支障が起こるほどの痛みになりますので、仕事をする、買い物に行く、旅行に出かける等の社会活動が思うようにできなくなります。
活動範囲が狭まり、外界からの刺激が少ない生活になるとストレスがたまり、うつ状態に陥りやすくなります。
また、高齢者の中には、家の外に出ない生活が続くと、認知症の症状が現れてくる人もいます。
変形性膝関節症の原因
変形性膝関節症は大きく2つに分類されます。
膝関節のクッションの役目を果たす膝軟骨や半月板が長期間に少しずつ擦り減り変形することで起こるもの(一次性変形性膝関節症)といい、関節リウマチや膝のケガなどの他の原因によって引き起こされるもの(二次性変形性膝関節症)といいます。
変形性膝関節症の多くは一次性が原因です。
(1)一次性変形性膝関節症の原因
変形性膝関節症は荷重が膝関節にかかることから関節軟骨が破壊されて起こりますが、なぜ関節軟骨が破壊されるのか、はっきりした原因は解明されていませんが、 傾向として、加齢、女性、肥満、O脚・X脚、筋力低下、膝への負担の大きいスポーツの習慣、O脚や偏平足など足部の変形、足に合わない靴およびハイヒール、へバーデン結節の方などの要因があげられています。
(2)二次性変形性膝関節症の原因
若い時にスポーツや事故などでので靱帯損傷などが、変形性膝関節症の原因となることがあります。
要因としては、膝周辺の骨折による関節軟骨の損傷、靭帯損傷、半月板の損傷、膝蓋骨の脱臼、膝関節の捻挫、慢性関節リウマチなどの 靱帯損傷や骨折などの外傷や関節のかみあわせの障害などが原因で変形性膝関節症が起こします。
膝の関節拘縮
膝を真っ直ぐに伸ばしたり深く曲げる膝の屈伸運動は、靱帯や関節包などが著しく緊張するので関節軟骨への負担も大きく、関節が傷んでいると激しく痛みます。
最初は痛みを避けようとして自然と膝の曲げ伸ばしをしないようになります。
ところが曲げ伸ばしをしないでいると靱帯や関節包、筋肉などの柔軟性がなくなり、今度は伸ばそうとしても伸ばせない、曲げようとしても 曲げられないようになっていきます(関節拘縮)。
更に痛むので動かさないでいると拘縮が進むという悪循環に陥ってしまいます。
この様に、変形性膝関節症にかかると、膝の痛みの為にあまり歩かなくなり、脚の筋肉が衰えていきます。
膝を守っている筋肉が衰えるとさらに膝に負担がかかります。
このような悪循環から脱するためには、早期に治療を受けることが大切です。
軟骨や骨には神経が通ってないので、軟骨が削れたから痛いのではなく、炎症が起きることで痛みが出てきます。
変形性膝関節症とよく似た疾患
慢性関節リウマチ
自己免疫の異常による多発性の関節炎。膠原病のひとつです。
特徴としては、複数の関節に左右対称に起こり、安静時痛、膝よりも手指や手首などからはじまることが多く、発症年代が30~40代が多い事などです。
(数は少ないが、慢性関節リウマチによく似た症状で慢性関節リウマチ以外の膠原病-多発性関節炎などもあります)
痛風
高尿酸血症により足の親指の付け根に突然激しい痛みがおきる病気。膝や肘などの関節が痛む場合もあります。女性より男性に多い疾患になります。
大腿骨内側顆骨壊死
膝の上の球状の骨の一部が壊死する病気です。50代の女性に多く、進行すると二次性変形性膝関節症になる。夜、睡眠中に痛むのが特徴的です。
結核性膝関節炎
結核菌によって引き起こされます。両膝の痛みではなく複数の関節の痛みでもない、骨萎縮と関節破壊の両方があります。変形性膝関節症や慢性関節リウマチの治療をしても改善しないなどの場合に疑われることが多くあります。
半月板損傷
外傷による半月板損傷。急に立ち上がった、捻った、踏ん張った、躓いた、ジャンプや着地などの時にグキッとした膝の痛みが走ることからはじまることが多く、急に膝の力が抜けて崩れたり、一定角度以上膝の曲げ伸ばしができなくなったりします。
治療の流れ
- 受付
- 初診時は保険証をお持ちなり、受付にて問診票と当院の説明の入った資料をお渡しいたします。閲覧いただきましたら必要な箇所にご記入いただいてお待ちください。記入しきれなくても問診時にご相談いただいても結構です。
- 問診
- お名前をお呼びしましてから、問診をはじめます。先生が問診表をもとに自覚症状や発症状況、痛みやだるさをおうかがいします。気になる事があれば、何でもお話してください。色々な整形学的検査と確かな経験のもとに原因を探ります。
- 診察・治療説明
- 痛みやだるさのある箇所を詳しく診察いたします。痛みがでる体勢や関節の可動域などを確認し、患部の状態や原因を確認いたします。原因は千差万別ですので診察中でもお気軽にお伝えいただくことにより、根本的な治療が可能となります。
- 治療
- 症状と治療の説明をご理解いただいた上で施術をおこないます。痛みの多くは筋肉のバランスが崩れることや背骨や骨盤などが歪むことにより発生します。力を抜いてリラックスしていただき、筋肉の緊張をほぐしていきます。患者様にあった必要な治療をおこないますのでご安心ください。
- 術後の確認・説明
- 施術後の痛みや動きを確認し、日常生活で気を付けて頂きたいことや筋トレの方法やストレッチのやり方などを説明し、次回の治療の説明をします。
施術料金
保険診療
各種健康保険が使えます。
お越しの際には保険証をご持参ください。
保険診療は症状により異なりますが下記の料金が目安となります。
初診
3割 | 2割 | 1割 | |
保険の割合に よります |
~1,200円 | ~800円 | ~600円 |
2回目
3割 | 2割 | 1割 | |
保険の割合に よります |
~570円 | ~380円 | ~180円 |
3回目~
3割 | 2割 | 1割 | |
保険の割合に よります |
~480円 | ~320円 | ~180円 |
矯正治療(自由診療)
患者様によって治療内容は変わります。
診察で金額と効果をしっかりご説明いたします。
初回 | 2,160円~ |
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2回目~ | 1,080円~ |
延長マッサージ (自由診療)
5分単位で何分でも延長することができます。
5分 | 540円 |
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10分 | 1,080円 |
20分 | 2,160円 |
アクセス
大原接骨院
小田急江ノ島線
南林間駅西口より徒歩1分
スーパータイガ前
神奈川県大和市南林間1-10-19
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