腰椎分離・すべり症とはどんな病気か?
腰椎分離症とすべり症は、症状や原因が似ているために、同じようなものだと誤解している人も多いのですが、根本的に違う病気になります。
脊椎分裂症の場合、椎骨棘突起が折れてしまい、腰痛が起こります。
脊椎すべり症の場合、椎骨がすべることによって腰痛が起こります。
プロ野球選手やプロサッカー選手では30%に腰椎分離症や分離すべり症が存在すると言われています。
では、まず腰椎分離からみていきましょう。
腰椎分離とは?
脊椎分離症の中で腰椎に起こるものを「腰椎分離症」と呼びます。
腰椎の椎骨のついている前方部分は椎体(ついたい)、後方の椎間関節のついている部分は椎弓(ついきゅう)と呼ばれます。椎体と椎弓の間には椎弓根(ついきゅうこん)があります。椎弓の部分で骨の連続性が断たれてしまい、椎体と椎弓が離れてしまった状態を「腰椎分離症」といいます。
腰椎分離症には2種類あります。
「先天性分離症」⇒生まれつき
「後天性分離症」⇒生まれたあと
ほとんどの腰椎分離症は「後天性」のもになります。
ですので後天性の腰椎分離症を説明していきます。
腰椎分離の原因と病態
腰椎分離症は,腰椎の関節突起部に離断がある病態で,骨格の未発達な成長期におこる疲労骨折が原因です。
多くは身体が柔らかい中学生頃に、ジャンプや腰の回旋を行うことで腰椎の後方部分に亀裂が入って起こります。
「ケガ」のように1回で起こるわけではなく、スポーツの練習などで繰り返して腰椎を反らしたり回したりすることで起こります。
日本人のおよそ6%に存在すると言われていて、男性で8%、女性では4%の割合です。
学童期から青年期のスポーツ競技者に好発します。スポーツをする子供と、スポーツをしない子供では発症率に3~4倍の差がみられます。
またスポーツ選手では30~40%の人が分離症になっています。
第5腰椎に最も多く発生します。
腰椎分離の症状
・腰を後ろに反らすと腰が痛い。
・腰を左右に捻ると腰が痛い。
・ジャンプして着地すると、腰に響くような痛みがでる。
・走ると腰に痛みが走る。
・常に腰が、頼りないような不安感がある。
・腰が抜けたような感じがある。
病期は【初期】、【進行期】、【終末期】に分類される
初期から進行期においては疲労骨折による痛みです。
終末期の痛みは、隣接する椎間関節(ついかんかんせつ)に負荷がかかることによる椎間関節炎による痛みとなります。
症状進行期には腰を反らせると狭いエリアに限局した痛みが現れます。
腰を反らせつつ、身体を横に倒す側屈を加えると正確に痛みを再現できます。
背骨を体表から触れる部分を棘突起(きょくとっき)と呼びますが、脊椎分離症では棘突起を上から順番に押していくと、疲労骨折を起こしている棘突起のみに限局した痛みが現れます。
終末期の脊椎分離症は分離部が偽関節という状態になります。
腰椎分離症⇒腰椎分離すべり症へ
腰椎が分離した状態が完成してしまうと、約75~80%の高確率で【腰椎分離すべり症】に移行します。
男性では約65%の移行率ですが、女性では90%以上の割合で腰椎分離すべり症に移行してしまいます。
この疾患は分離を発生させる時期により予後が大きく違う特徴があります。
12歳までの学童期に分離を発生させてしまうと、80%の確率で12~18歳までに【腰椎分離すべり症】に移行してしまいます。
これが分離の発生が12~16歳であった場合、その後に【腰椎分離すべり症】に移行する確率は約10%に一気に低下します。
また15歳以上での分離の発生では、その後の【腰椎分離すべり症】に移行する確率は殆ど0%となります。
つまり、小学生の時期の高負荷のスポーツには十分な注意が必要です。
腰椎分離すべり症・腰椎変性すべり症とは?
個々の背骨を繋げている部分が分離してしまう状態を分離すべり症と呼び、
個々の背骨の分離はなく、骨と骨の間にある椎間板が老化により変性することが、原因ででずれたものを変性すべり症と呼びます。
腰椎すべり症
脊椎すべり症は、椎体部の並びがズレてしまうものをいいます。
特に第4、第5腰椎が前方にズレることが多く、腰椎すべり症と呼ばれます。
腰椎は横から見るとゆるやかなカーブを描いて並んでいますが、何らかの原因で支えきれなくなるとズレてしまいます。
すべりが大きくなって神経が圧迫されると、腰痛ばかりでなく坐骨神経痛が現れます。
脊椎すべり症には脊椎分離症から起こる「脊椎分離すべり症」と、
関節の変形によって起こる「変性すべり症」があります。
脊椎すべり症は脊柱管狭窄症の原因にもなります。
腰椎分離症の好発年齢である10~15歳以降の発症は稀です.
腰椎分離症の10~30%が腰椎分離すべり症を発症すると言われています。
腰椎変性すべり症の好発部位は第4腰椎で,腰椎分離すべり症のような椎弓の分離はありません。
加齢によって椎間板や椎間関節の変性が進み脊椎が緩んだ状態になって第4腰椎の下関節突起部分が第5腰椎の上関節突起部分を少し乗り越えて前にずれることで脊柱管が狭まく(脊柱管狭窄症)なって腰痛などの症状が発現します。
腰椎変性すべり症は女性の高齢者に好発し,腰痛が主な症状ですが,坐骨神経痛や間欠性跛行の症状が現われることがあります。
脊椎の安定に大切な椎間関節が形態的に弱い人に多く起こりやすいとされています。
腰椎すべり症は5種類
「分離すべり症」⇒ 分離症から2次的に発症します。
「変性すべり症」⇒ 女性に多く、老化などによる骨の変性で発症します。
「形成不全すべり症」 ⇒ 生まれつき椎弓部の発育が不全
「外傷性すべり症」⇒ 外傷(ケガ)などで発症する
「病的すべり症」⇒ 悪性膿腫や感染などの骨破壊によって発症する
以上の5つのうち、ほとんどのすべり症が「分離すべり症」と「変性すべり症」ですのでコチラの2つについて説明します。
腰は1~5つの腰椎で構成されていて、横から見ると、少し弓のようにカーブしています。この腰椎の椎間板関節という部分が壊れたり、椎間板に異常などで、腰は本来のカーブを支えれなくなり、腰椎が前か後ろにすべる(ズレる)ことを腰椎すべり症と言います。
主に第4腰椎に多くみられ、前にすべる前方すべりが多いと言われています。
腰椎すべり症の原因は3つ
1、「骨の変性や変形」・・・骨折や捻挫などの外傷、椎間板機能の低下、姿勢の悪さ、骨密度の低下
2、「筋力の低下」・・・肥満や運動不足、片寄った食生活
3、「筋肉の疲労」・・・激しい運動・仕事での負担による筋肉への負担、姿勢の悪さ
以上のように、特に姿勢の悪さというのが大きなポイントになってきます。
腰椎変性すべり症は中高年を中心に幅広い世代に多い症状です。
中高年に多い理由として、若いころは筋肉や靭帯が健康で腰椎を支える力があるので問題ないのですが、加齢や姿勢などの生活習慣などにより、腰椎を支える力が衰えてしまう為、腰が曲がっている人の多くがこの状態です。
他に骨の成長時期、激しいスポーツをしている方は、腰をひねったり、反らしたりする動作により、疲労骨折を起こすことも分離すべり症になる原因になっております。スポーツでのオーバーユースが発症に大きく関係しています。
腰椎変性すべり症は40代以上の女性に好発します。
すべり症が発生するのは腰椎4番が最も多く、滑り出している部分が落ち込む【階段状変形】という現象が体表から観察されます。
腰椎変性すべり症は腰椎不安定症が基礎的な疾患です。
ほとんどの場合は前方すべりですが、まれに後方すべり、横すべりになる事もあります。
女性に多くみられるのは男性に比べ基礎的な筋力が弱いためです。
女性では筋力が低下してくる40代を境に徐々に増えていきます。
男性でも60代になると筋力低下が顕著になる為、この年代以降は発症者が増えていきます。
また、女性に多く発症しやすい理由として、男性に比べヒールが高めの靴を使用する方が少なくないためです。
ヒールが高めの靴を履くと腰椎の前方への湾曲が拡大するため、背骨のずれを助長する事になります。
柔軟性の問題
年齢が若ければ、靭帯も丈夫で柔軟性もあり、腰椎が滑っても瞬間的なものに留まり、すぐに元に戻ることが出来ます。
加齢が進むと靭帯も衰えてきますので、滑ってしまうと柔軟性がないために、元に戻すことが出来なくなってしまいます。
結果的に、そのまま滑りっぱなしのままになってしまうのです。これが、年配者に腰椎分裂すべり症が多く見られる理由と言われております。
腰椎分離すべり症の症状
・長時間立っていたり、同じ姿勢を続けていると腰に鈍く重い痛みが出る。
・腰を後ろに反らすと、痛みが強くなる。
・体を前に倒すと、腰からお尻にツッパリ感が出る。
・片側、もしくは両側の足に痛み・しびれがでる場合がある。
・数十分歩くと、足がしびれるが、少し休むとまた歩ける(間欠性跛行)
腰椎変性すべり症の症状
分離すべり症と同様の症状が出ますが、
馬尾神経障害として、両下肢の脱力感、会陰部のしびれや熱感、膀胱直腸障害(残尿感、頻尿、便秘)、男性では歩行時の陰茎勃起が起こることがあります。
しかし、本当の原因は?
腰椎分離症・分離すべり症と診断された方の本当の腰痛の原因とは?
分離症とは小学生から高校生にかけての成長期の運動による機械的刺激が下部腰椎に繰り返し加わることにより疲労骨折が起こります。
この骨折がつかないまま成長していくと分離症という状態になります。
分離症の状態が長く続くと椎体が身体の前面に滑る状態、いわゆる分離すべり症に進行していきます。
分離症は一般の方でも5%程度発症していると言われていますが、スポーツ選手では30~40%もの方が分離症を発症しているとも言われています。
ではその割合程、分離症が原因で腰痛が発症しているかというとそうではありません。
どのようなことかというと、腰痛を発症するとまず多くの方は病院に受診します。
病院を受診すると多くの場合レントゲンを撮影します。
そこで分離症が見つかると「それが原因だ!」となります。
本当に分離症がその腰痛の原因なのでしょうか?
ある研究では腰痛が無い方の腰部のレントゲンを撮影したところ腰痛が無いにも関わらず分離症と診断されることが多くあったという研究報告もあります。
もし腰椎が分離している状態(疲労骨折)している状態であれば基本的には安静にしていても骨折している状態なので痛いはずです。
しかし、腰椎分離症と診断された方に痛みの場所を尋ねると多くの方は「動いた時や腰を反ったときに痛みが強くなる」と言います。
また、腰椎分離症が腰痛の原因であれば、分離している場所(骨折している骨)が痛いのだから背骨の上のピンポイントで痛みが出現するはずですから、「腰の右側が痛い」ではなく、「背骨の真ん中がじっとしていても痛い」という表現になるはずです。
なぜ 子供の頃に疲労骨折したものが、何十年もしてから痛みがでてくるのか?
なぜ 分離し滑っているところを金属プレート等で固定する手術をしても腰痛は改善されないのか?
それは、レントゲンで撮った画像診断が全てではないということ意味しています。
治療の流れ
- 受付
- 初診時は保険証をお持ちなり、受付にて問診票と当院の説明の入った資料をお渡しいたします。閲覧いただきましたら必要な箇所にご記入いただいてお待ちください。記入しきれなくても問診時にご相談いただいても結構です。
- 問診
- お名前をお呼びしましてから、問診をはじめます。先生が問診表をもとに自覚症状や発症状況、痛みやだるさをおうかがいします。気になる事があれば、何でもお話してください。色々な整形学的検査と確かな経験のもとに原因を探ります。
- 診察・治療説明
- 痛みやだるさのある箇所を詳しく診察いたします。痛みがでる体勢や関節の可動域などを確認し、患部の状態や原因を確認いたします。原因は千差万別ですので診察中でもお気軽にお伝えいただくことにより、根本的な治療が可能となります。
- 治療
- 症状と治療の説明をご理解いただいた上で施術をおこないます。痛みの多くは筋肉のバランスが崩れることや背骨や骨盤などが歪むことにより発生します。力を抜いてリラックスしていただき、筋肉の緊張をほぐしていきます。患者様にあった必要な治療をおこないますのでご安心ください。
- 術後の確認・説明
- 施術後の痛みや動きを確認し、日常生活で気を付けて頂きたいことや筋トレの方法やストレッチのやり方などを説明し、次回の治療の説明をします。
施術料金
保険診療
各種健康保険が使えます。
お越しの際には保険証をご持参ください。
保険診療は症状により異なりますが下記の料金が目安となります。
初診
3割 | 2割 | 1割 | |
保険の割合に よります |
~1,200円 | ~800円 | ~600円 |
2回目
3割 | 2割 | 1割 | |
保険の割合に よります |
~570円 | ~380円 | ~180円 |
3回目~
3割 | 2割 | 1割 | |
保険の割合に よります |
~480円 | ~320円 | ~180円 |
矯正治療(自由診療)
患者様によって治療内容は変わります。
診察で金額と効果をしっかりご説明いたします。
初回 | 2,160円~ |
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2回目~ | 1,080円~ |
延長マッサージ (自由診療)
5分単位で何分でも延長することができます。
5分 | 540円 |
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10分 | 1,080円 |
20分 | 2,160円 |
アクセス
大原接骨院
小田急江ノ島線
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スーパータイガ前
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