炭水化物が命を縮める?

以前、

「無料でチョコレート・ケーキか温野菜が選べます。どちらにしますか?」

と言われた場合、皆様はどちらを選択しますか?

というコラムを書かせて頂きました。

 

 

そして そのコラムの内容とは、

 

糖質は、脳の側坐核(そくざかく)といわれる部分を刺激します。

側坐核が刺激されると、

「脳内麻薬」であるドーパミンやセロトニンが放出され、

達成感や幸福感にも似た快感が貴方を包みます。

 

つまり、糖質を摂ることで、

かなり手軽に大きな報酬が得られるわけです。

 

人間を含む多くの動物のシステムは、

報酬の記憶を脳にしっかり刷り込み、

それをいかに再現するかということを

志向するように出来上がっています。

 

報酬をもたらす行為は繰り返し行われますが、

そのうち、受容体のダウンレギュレーションが起こり、

同じ量の糖質では十分な快感が得られなくなってきます。

 

それがさらに糖質摂取量の増加をもたらしてゆきます。

これはちょうどコカイン依存症などと同じメカニズムであり、

食事を超越した、ある種のドラッグ的薬効が

糖質にはあるということです。

 

我々は、行為→報酬→リピート

というサイクルで習慣的に生きているため、

これを断ち切るのは容易ではありません。

不可能な場合も多くあるでしょう。

 

糖質の固まりであるチョコレート・ケーキは

側坐核からの報酬を即座にもたらしますが、

温野菜は血糖値を上げないため体感的な報酬はありません。

 

糖質がどのように身体を蝕むかという次元の話では無いのです。

体感報酬をもたらす選択 vs 体感報酬をもたらさない選択

の2択に直面した場合、

我々動物は、どこまで理性的に行動をとれるのか?という問題です。

 

人間はそれほど、理性的な判断を下したり、

理性的な行動をとったり出来るものではありません。

 

と結論付けました。

今回は

「炭水化物が命を縮める」です。

 

炭水化物とは、

糖質に食物繊維がくっついたものです。

 

炭水化物の摂取率が上がると死亡率が上昇する

 

カナダの研究者らが、

「炭水化物の摂取率が上がると死亡率が上昇する」

という内容の論文を英医学誌に発表しました。

 

主に炭水化物の摂取率を下げる「糖質制限食」については、

さまざまな意見があります。

 

 

◇5大陸18カ国の13万5000人を調査

 

ランセットの論文は、カナダ・マクマスター大学の

Mahshid Dehghan博士らが報告したものです。

 

5大陸18カ国で全死亡と心血管疾患に対し

食事がどのように影響するのかを検証した研究の結果です。

 

2003年1月1日時点で登録した35~70歳の13万5335人を、

13年3月31日まで7.4年間(中央値)追跡調査しました。

 

これまでの研究データのほとんどが、

高所得で栄養過剰傾向にある欧米のものでした。

 

しかし、この研究は低所得、中所得、高所得の18カ国を網羅しており、

その点でも信頼性の高い研究だといえます。

 

◇健康常識をくつがえす結果

論文の内容は以下の4点に要約できます。

1)炭水化物摂取量の多さは、全死亡リスクの上昇と関連している

2)総脂質も各種脂質も摂取量の多さが全死亡リスクの低下と関連している

3)総脂質、各種脂質の摂取量は、心血管疾患、心筋梗塞、心血管疾患死と関連していない

4)飽和脂肪酸の摂取量は脳卒中の発症リスクと逆相関している
   ※飽和脂肪酸は、乳製品や動物性食品に多く含まれています。

 

端的に言えば、

「炭水化物の摂取量が多いほど死亡リスクが高まり、

脂質の摂取が多いほど死亡率が低下する」という内容です。

 

つまり、「脂質をなるべく減らしましょう」という

日本の従来の健康常識を真っ向から覆す研究報告です。

 

炭水化物は「糖質+食物繊維」です。

食物繊維は体内に吸収されず、

血糖値の上昇を緩やかにするのを助けたり、

腸内細菌の餌になったりするものです。

 

一方で、糖質は体内に吸収され、

血糖値を直接上昇させたり、

老化や生活習慣病の原因となる糖化に関わったりします。

 

ですから、死亡リスクの上昇には糖質が

関係していると考えていいでしょう。

 

◇総死亡率が示す炭水化物の影響

 

論文では、炭水化物と脂質それぞれについて、

摂取比率によって五つのグループに分け、全死亡率を比較しています。

 

炭水化物については、摂取比率が高いほど

総死亡率が上昇しています。

 

摂取比率が最も低い1群(46.4%)は

総死亡率が4.1%で、

最も高い5群(77.2%)は総死亡率が7.2%ですから、

5群は1群よりも総死亡率が1.76倍も高くなっています。

 

脂質については逆で、

摂取比率が高いほど総死亡率が減少しています。

 

摂取比率が最も少ない1群(10.6%)の総死亡率は6.7%。

最も高い5群(35.3%)の総死亡率は4.1%です。

5群の総死亡率は1群の0.61倍しかありません。

 

◇人類最強の食事療法?

この研究で炭水化物の摂取比率が最も少ない1群の糖質摂取比率は、

白米で換算すると46%ぐらいです。

スーパー糖質制限食は1群よりも

さらに糖質摂取比率が低いということです。

 

さらに、脂質については、

スーパー糖質制限食の摂取比率は56%ですから、

この研究で最も摂取比率の高い5群よりも高くなります。

 

実際に研究で確かめられているわけではありませんが、

「スーパー糖質制限食は人類最強の食事療法」との仮説が成り立ちます。

毎日新聞医療プレミア参照

 

本日も最後までお読みくださりありがとうございました。

 

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